著者
木村 大助 鈴木 陽一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.251, pp.57-64, 2001-08-03
被引用文献数
5

人間が自然な状態で音を聴取する際には, 無意識のうちに頭部を動かしている場合が多い.この点に着目し, 頭部運動と音像定位の関係についての研究が進められているが, 聴覚ディスプレイシステムに代表されるような仮想音源による音像定位システムにおける頭部運動の影響について詳細に検討した研究はほとんどみられない.そこで我々は, 実音源と仮想音源を用いた音像定位実験により, 頭部運動の有無が前後誤判断及び定位精度に与える影響を分析するとともに, 音像提示時における頭部運動のパターンについて考察した.その結果, 実音源, 仮想音源に関わらず, 頭部運動により前後誤判断, 定位誤差が減少した.これらの結果は, 仮想音源を用いた音像定位システムにおいて, 頭部の動きに追従して音像を移動させることが重要であることを示している.