著者
神 雄太 西山 亮 小金井 雄太 木村 大輝 青山 純也 中野 容 今井 俊一 下河原 達也 山田 暢 江川 智久
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.641-648, 2023-12-01 (Released:2023-12-11)
参考文献数
25

50代男性.未治療B型慢性肝炎の既往があり,人間ドックで肝腫瘤を指摘され,精査の結果肝細胞癌(Hepatocellular carcinoma:HCC)の診断に至った.病変はS8に2カ所あり,開腹肝前区域切除を行い,病理組織診断でvp2を認めた.術後2カ月で施行した造影CT検査で門脈左枝に門脈腫瘍栓(Portal vein tumor thrombosis:PVTT)を認めた.術後早期再発したPVTTであり再肝切除後の再発のリスクが高いと考え,観察期間を設けるためLenvatinib(LEN)投与を開始した.PVTTは放射線定位照射したが,術後9カ月に肝右葉微小転移が指摘された.LEN投与下にPVTTと微小転移は増悪を認めず,AFP値が正常化したため,再発後11カ月で再肝切除を行った.その後,微小転移に対してサイバーナイフを施行し完全寛解した.現在,初回術後43カ月無再発生存中である.