著者
眞田 奈緒美 嶋田 理菜 岡田 裕莉恵 山口 茜 木村 奈緒 根本(山本) 晴子 清水 邦彦 清水 武彦
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.466-473, 2018

<p>横紋筋肉腫は,骨格筋へ分化する胎児性間葉系細胞を発生母地とする軟部悪性腫瘍であり,小児の軟部悪性腫瘍としては代表的な疾患の一つである。今回我々は,横紋筋肉腫の治療に伴い歯および骨の形成障害を生じた7歳0か月の女児の1例を経験したので報告する。患児は2歳6か月時に右眼窩原発胎児型横紋筋肉腫(StageⅠ)と診断され,急速な腫瘍増大のため腫瘍の8割を経結膜にて摘出し,2歳7か月から4歳6か月まで化学療法が施された。更に,2歳8か月から2歳9か月までの期間に右側眼窩から上顎洞にかけて総線量45Gyの放射線治療が施行された。</p><p></p><p>口腔内所見およびエックス線所見から,上顎右側部において矮小歯,歯胚の欠如,歯根形成不全,歯槽骨の形成不全が認められた。他部位においても歯胚の欠如やエナメル質石灰化不全を認めた。また,これらの症状に伴い,叢生および開咬を認めた。</p><p></p><p>本症例に認められた,多数歯にわたる著しい形成障害や顎骨の発育不全は,横紋筋肉腫の治療の為に施された放射線療法および化学療法により誘発された可能性が示唆された。</p>
著者
木村 奈緒子
出版者
東京医療学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

これまでの研究結果より、日本におけるピア・サポートに関しては基礎研究が必要であることが明らかとなった。そのため、本年度は2つの基礎研究を行い、データの収集を行った。(1)ピア・サポートの活動内容の分析実際のピア・サポート活動をしているグループ(脳血管障害、頭部外傷)に聞き取り調査を行った。その結果、地域におけるピア・サポートは家族や専門職が運営しているグループがほとんどであることが明らかとなった。家族や専門家が直接介入していないグループは確認できただけでは5グループのみであった。グループの活動内容はグループを構成するメンバーの年齢と重症度によって変わっており、比較的若く後遺症が軽いグループは屋外での活動が多く、社会的就労も念頭に置いていた。一方高齢で歩行範囲が限られるメンバーがいるグループは話し合いが中心となっていた。どのグループも強いリーダーシップをとるメンバーがおり、全体の構成を考えながらスタッフ的な役割を担っていた。リーダーシップをとる人の負担は大きく、時間的経済的に大きな問題がないと行なえない現状があることが分かった。(2)ピア・サポーターの成長過程ピア・サポート活動をしている人(脳卒中既往者)を対象にインタビューを実施。得られた回答を分析した結果、「集まれる場所の必要性を実感する」、「同病者が気持ちを分かり合えることの重要性」、「助けられるばかりの自分から助ける自分への変革」、「既往者としての役割の任氏指揮」のカテゴリーに集約された。ピア・サポートを行うきっかけは多様であるが、必要性を強く認識していった過程が明らかとなった。更にリハビリテーションの中でピア・サポートの意識が育まれていったケースがあることが明らかとなった。