著者
大谷 武司 木村 康子 阪口 雅弘 井上 栄 飯倉 洋治 安枝 浩
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.411-417, 1992
被引用文献数
4

最近開発された特殊防ダニ布団(TR社)を, 喘息児とその家族(23組)に普通の布団(コントロール)と一緒に約2年間実際に使用し, 布団のダニ数と, ダニ抗原量(Der I, Der II)を測定しその効果を検討した. 1. 2年間, 延べ124組の布団のダニ数の結果は, 防ダニ布団は平均6.4匹(SD±8.8)であり, コントロール布団の70匹(SD±99)にくらべ約1/10であり有意に少なかった(p<0.001). 2. ダニの追跡調査を約2年間(使用後3, 6, 9, 12, 27力月)おこなったが, いずれも, 防ダニ布団のダニ数はコントロールに比べ, つねに1/10かそれ以下であった(p<O.01). 3. 2年間使用した布団の中綿についてDer IとDer IIのダニ抗原量を測定した. 防ダニ布団のダニ抗原量はコントロールに比べ平均で約1/24であった. 4. 布団たたきをし空中ダニ抗原量(Der I, Der II)を測定した. その結果, 防ダニ布団とコントロールのダニ抗原量の比は1:22〜264であった. 以上の結果から, 防ダニ布団は普通の布団に比べ, ダニの繁殖を常に1/10かそれ以下に防止し, しかも, 布団の中綿と浮遊するダニ抗原量はさらに少ないという結果であった.