著者
大森 啓太郎 増田 健一 阪口 雅弘 蕪木 由紀子 大野 耕一 辻本 元
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.851-853, 2002-09-25
参考文献数
13

農林水産省に犬のワクチン副反応として報告された311症例を症状別に分類した.狂犬病ワクチンにより副反応を起こした27症例においては消化器症状が最も多く(26%),次いで呼吸・循環器症状(22%),皮膚症状(11%)であった.狂犬病ワクチン以外の単価,混合ワクチンにより副反応を起こした284症例においては,皮膚症状が最も多く(53%),次いで消化器症状(16%),呼吸・循環器症状(14%)であった.311症例中,11症例(3.5%)においてワクチン副反応による死亡が認められた.
著者
吉澤 晋 菅原 文子 安枝 浩 信太 隆夫 入江 建久 阪口 雅弘 井上 栄
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.435-438, 1991
被引用文献数
14

ダニアレルギー患者のアレルゲン暴露量を効果的に減らす方策を考えるために, 空中浮遊ダニアレルゲンの挙動を調べた. 布団をたたいてダニアレルゲンをアンダーセンサンプラーで粒子径別に, またスリットサンプラーで経時的に捕集した. 両サンプラーの寒天板上に集められた2種類のダニ主要アレルゲン (Der I, Der II) は, 免疫化学的に測定した. その結果は, Der I, II ともその抗原活性の80%は空気力学的粒子径が5.5μm 以上に分布した. 浮遊両アレルゲンとも30分間で10%に減衰した. これらの結果は, 布団から飛散するダニ主要アレルゲンは空中に長く浮遊せずにすぐ落下することを示している.
著者
阪口 雅弘 井上 栄 吉沢 晋 菅原 文子 入江 建久 安枝 浩 信太 隆夫 今井 智子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.439-443, 1991
被引用文献数
7

布団内のダニアレルゲンの除去方法として, 1) 真空掃除機による吸引, 2) 布団たたきと真空掃除機の組み合わせ, 3) 機械式丸洗い, の3法を比較した. 布団内ダニアレルゲン量は, 布団内15箇所から綿を取り出し, アレルゲンを水に抽出して, 主要アレルゲン (Der f I, II; Der p I, II) の絶対量を免疫化学的に測定した. また, 布団をたたいてアレルゲンを空気中に放出させ, それをエアサンプラーを用いて集め, 定量した. 真空掃除機およびそれに布団たたきを併用した場合には, 布団内アレルゲン量の減少は40%前後であった. 機械丸洗いでは業者によるアレルゲン除去率の違いがあったが, ある業者では除去率は90%以上であった. また空気中に発生するアレルゲン量も, その業者では90%以上減少した. したがって, 布団から発生するダニアレルゲンによる暴露を減らすためには,布団の機械式丸洗いは, 布団たたきや掃除機法に比較して有効な方法である. ただし, 丸洗いによるアレルゲン除去率は, 業者によって違いがあった.
著者
阪口 雅弘 井上 栄 吉沢 晋 菅原 文子 入江 建久 安枝 浩 信太 隆夫 今井 智子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.439-443, 1991-04-30 (Released:2017-02-10)
被引用文献数
4

布団内のダニアレルゲンの除去方法として, 1) 真空掃除機による吸引, 2) 布団たたきと真空掃除機の組み合わせ, 3) 機械式丸洗い, の3法を比較した. 布団内ダニアレルゲン量は, 布団内15箇所から綿を取り出し, アレルゲンを水に抽出して, 主要アレルゲン (Der f I, II; Der p I, II) の絶対量を免疫化学的に測定した. また, 布団をたたいてアレルゲンを空気中に放出させ, それをエアサンプラーを用いて集め, 定量した. 真空掃除機およびそれに布団たたきを併用した場合には, 布団内アレルゲン量の減少は40%前後であった. 機械丸洗いでは業者によるアレルゲン除去率の違いがあったが, ある業者では除去率は90%以上であった. また空気中に発生するアレルゲン量も, その業者では90%以上減少した. したがって, 布団から発生するダニアレルゲンによる暴露を減らすためには,布団の機械式丸洗いは, 布団たたきや掃除機法に比較して有効な方法である. ただし, 丸洗いによるアレルゲン除去率は, 業者によって違いがあった.
著者
橋本 道子 和 秀雄 阪口 雅弘 井上 栄 宮沢 博 渡辺 美香 三関 三乃 安枝 浩 新田 裕史
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.597-598, 1994-06-15
被引用文献数
2

ネコを飼育している家庭の布団からのネコ主要アレルゲン(Fel d I)除去を家庭用洗濯機を用いて行った. 洗濯の前後に布団から綿の一部を集め, その綿からネコアレルゲンを抽出した. その抽出液中のFel d I量をサンドイチELISA法で測定することにより, 除去率を評価した. 洗濯後の布団のFel d I量は95%以上減少した. 布団洗いはネコアレルゲンを除去するのに効果的な方法であることがわかった.
著者
稲葉 弥寿子 白井 秀治 矢上 晶子 秋田 浩孝 阪口 雅弘 水谷 仁 松永 佳世子
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.120, no.9, pp.1893-1900, 2010-08-20 (Released:2014-11-28)

粉製品に含まれたダニの経口摂取によるアナフィラキシー2症例を経験したので報告する.症例1は50歳女性で,開封後に常温保存したお好み焼き粉を,自宅にて調理摂取した約30分後に全身浮腫性紅斑や動悸,嘔気が出現した.患者が摂取したお好み焼き粉は,賞味期限より2年が経過していた.患者血清ダニ抗原特異IgE値はヤケヒョウヒダニ23.4 IU/ml,コナヒョウヒダニ33.7 IU/mlで,コムギ関連特異IgE値はコムギ<0.35 IU/ml,グルテン<0.35 IU/mlと陰性であった.持参した同一銘柄の未開封お好み焼き粉と冷凍保存された薄力粉でのスクラッチテストは陰性であったが,ダニ抗原(鳥居薬品)のプリックテストはscore 3+の陽性を示した.症例2は28歳女性で,開封後に数カ月間常温保存したお好み焼き粉(以下事故粉)を自宅において調理中に喘息症状が出現し,摂取中に呼吸困難感や嘔吐,腹痛が出現し,アナフィラキシーショックとなった.患者血清ダニ抗原特異IgE値はヤケヒョウヒダニ51.6 IU/ml,コナヒョウヒダニ55.6 IU/mlで,コムギ関連特異IgEはコムギ<0.35 IU/ml,グルテン<0.35 IU/mlと陰性であった.プリックテストは事故粉でscore 3+の陽性,ダニ抗原(鳥居薬品)でscore 4+の陽性であった.また冷凍保存された薄力粉は陰性であった.事故粉にはコナヒョウヒダニが50匹/g検出され,ELISA法で測定したところ,ダニ主要抗原であるDer f 1が64.1 μg/gと多量に検出された.事故粉と患者血清(症例2)を用いたImmunoblot法ではダニ抗原と思われる25 kDa部位にバンドが検出された.さらに血清とダニ粗抽出液を用いたInhibition immunoblot法ではダニ粗抽出物と共通分子量付近に認められた複数のバンドは事故粉より消失した.この結果から事故粉に認められたバンドは粉中のダニ抗原に反応したバンドと考えられた.上記の検討を踏まえ,お好み焼き粉におけるダニ繁殖の実態を調査するため,我々は,お好み焼き用ミックス粉3銘柄と薄力粉におけるダニ数及びダニ抗原の増殖性の違いについて検討した.各粉にコナヒョウヒダニを添加培養し,3週間後と6週間後に評価した.培養6週間後にミックス粉のダニ数とダニ抗原は,薄力粉に比較して3銘柄ともに増加傾向を認め,1銘柄は有意に増加していた.粉類でダニの増殖を防ぐには冷蔵保存が良いとされる.市販のミックス粉の注意書きには冷蔵保存と明記する必要があり,また我々皮膚科医は小麦アレルギーと誤診しないよう注意が必要である.
著者
大谷 武司 木村 康子 阪口 雅弘 井上 栄 飯倉 洋治 安枝 浩
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.411-417, 1992
被引用文献数
4

最近開発された特殊防ダニ布団(TR社)を, 喘息児とその家族(23組)に普通の布団(コントロール)と一緒に約2年間実際に使用し, 布団のダニ数と, ダニ抗原量(Der I, Der II)を測定しその効果を検討した. 1. 2年間, 延べ124組の布団のダニ数の結果は, 防ダニ布団は平均6.4匹(SD±8.8)であり, コントロール布団の70匹(SD±99)にくらべ約1/10であり有意に少なかった(p<0.001). 2. ダニの追跡調査を約2年間(使用後3, 6, 9, 12, 27力月)おこなったが, いずれも, 防ダニ布団のダニ数はコントロールに比べ, つねに1/10かそれ以下であった(p<O.01). 3. 2年間使用した布団の中綿についてDer IとDer IIのダニ抗原量を測定した. 防ダニ布団のダニ抗原量はコントロールに比べ平均で約1/24であった. 4. 布団たたきをし空中ダニ抗原量(Der I, Der II)を測定した. その結果, 防ダニ布団とコントロールのダニ抗原量の比は1:22〜264であった. 以上の結果から, 防ダニ布団は普通の布団に比べ, ダニの繁殖を常に1/10かそれ以下に防止し, しかも, 布団の中綿と浮遊するダニ抗原量はさらに少ないという結果であった.
著者
阪口 雅弘 辻本 元
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

犬においてワクチン接種後の副反応としてアナフィラキシーなどワクチン成分に対するアレルギー反応が認められている。このワクチン接種後の副反応の原因アレルゲンを検討したところ、ワクチンに含まれる牛胎児血清(FCS)成分が原因であることをこれまでに明らかにした。本研究においてはFCS中の原因アレルゲンを検討した。ワクチン接種後アレルギー反応を起こした犬血清を用いたImmunoblot法により、FCSを解析した。68kDaに強いバンドが、75kDaに弱いバンドが検出された。分子量から68kDaのタンパクとして牛血清アルブミン(BSA)が疑われたため、精製BSAに対するImmunoblot法を行ったところ、BSAに対する強いバンドが検出された。以上の結果から、BSAがFCS中に存在するアレルゲンの1つとして同定された。初めてワクチンを接種する犬においても副反応が起こることや犬の食物アレルギーの原因として牛肉が最も多く報告されている。これらの理由からワクチンを接種前に犬が牛肉等のアレルギーに感作されていた可能性があると考え、牛肉成分中のアレルゲン成分を解析した。牛肉アレルギー犬の血清を用いたImmunoblot法では、牛肉アレルギーの犬において67-kDaと55-kDaに陽性バンド認められた。精製タンパクを用いたimmunoblot法により、67-kDaのバンドはBSA、55-kDaのバンドはbovine gamma- globulin (BGG)であることが判った。BSAおよびBGGは、牛肉アレルギーの犬における牛肉成分中のアレルゲンであることが同定された。市販の犬用ワクチン中には多量のBSAおよびBGGが含まれていることから、本研究結果はワクチン接種後アレルギー反応と牛肉アレルギーの関連性を示唆している。
著者
藤村 正人 大森 啓太郎 増田 健一 辻本 元 阪口 雅弘
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.1069-1070, 2002-10
参考文献数
11
被引用文献数
1 21

スギ(Cryptomeria japonica)花粉症の犬が新鮮なトマトを摂取した後,口腔アレルギー症候群(OAS)を発症した.この犬は血清特異的IgE検査でスギ花粉とトマト抗原の両方に陽性を示した.また,スギ花粉とトマト抗原の間でIgE交差反応が認められた.本研究においてトマトのOASが犬に存在して,スギ花粉とトマト抗原との間に関係があることが分かった.
著者
辻本 元 阪口 雅弘 増田 健一 大野 耕一 平原 一樹 佐々木 伸雄 白石 明郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究においては、DNAワクチンによるアレルギー性疾患の根治的治療法を確立するため、アレルギー性疾患の自然発症犬および実験的感作犬を用いて、in vitroにおけるアレルギー反応の基礎的解析、さらにそれを応用してin vivoにおける臨床有効性の検討を行なった。最初に、スギ花粉抗原に感作されたアトピー性皮膚炎のイヌを対象としてスギ花粉抗原に対するアレルギー反応を解析した。すなわち、スギ花粉主要抗原のひとつであるCry j 1に感作された症例が多いことを明らかとし、それら症例においてはCry j 1に対するIgE産生がスギ花粉飛散時期と一致していることを解明した。さらに、これら症例においてCry j 1のオーバーラッピングペプチドを用いてT細胞エピトーブ部分を同定した。また、Cry j 1DNAワクチンの治療試験を4頭の症例を用いて実施し、治療群においてはいずれの症例もアトピー性皮層炎症状の改善とともに、スギ花粉粗抗原を用いた皮内反応の陰性化およびスギ花粉に対する末梢血リンパ球の芽球化反応の低下を認めた。一方、スギ花粉を実験的に感作した犬において、スギ花粉抗原気道内曝露によってスギ花粉特異的な気道過敏性を誘導することが可能であった。これを用いてCry j 1DNAワクチンによる治療試験を行なったところ、治療群においては、IgE値やリンパ球の芽球化反応においては顕著な変化は認められなかったが、スギ花粉抗原に対するin vivo反応性においては皮内反応の陽性閾値の上昇、気道過敏性反応の閾値の上昇が認められた。さらに、肺の組織においても、対照群と比較して肥満細胞の数が有意に低下していた。以上のことから、DNAワクチンはアレルギー性疾患の臨床症状をコントロールすることができる根治的治療法であることがわかった。
著者
阪口 雅弘 増田 健一 蔵田 圭吾 辻元 元 五十君 静信
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

犬においてアレルギー疾患が多く報告されている。その中でもスギ花粉症の犬はアレルギー全体の10%程度を占め、ダニアレルギーに次いで重要なアレルギー疾患である。アレルギー治療研究の分野において乳酸菌が注目され、乳酸菌におけるTh1誘導能およびIgE産生抑制効果が示されている。本研究においてスギ花粉症に対する抗原特異的な免疫療法として、安価に製造可能なスギ花粉アレルゲン遺伝子組換え乳酸菌を用いたワクチンを開発することを目的としている。ベクターとして、乳酸菌:Lactobacillus casei(ATCC393)を用いた。L.. caseiにおける発現に成功しているLLOとの融合タンパクとして発現されるようにデザインしたプラスミドベクターを作製し、ム.oε5θグに導入した。本研究では、 N末端から158-329番目のアミノ酸を含むスギ花粉アレルゲンであるCry j 1(Cry j 1_<158-329>;約20 kDa)を用いた。このCry j 1はヒトおよびBALB/cマウスのCD4+T細胞が認識するT細胞エピトープを含んでいる。 LLOは、Listeria monocytonegesの菌体由来タンパクであり、LLO白体にマウスの脾臓細胞からTh1サイトカインを誘導することが明らかとなっている。 LLOは溶血毒性を有するため、本研究では、溶血毒性をもたらすドメインを欠損させた変異LLOを用いた。抗LLO抗体を用いたウェスタンブロット法では、 Cry j 1_<158-329>-LLO導入株で約60kDaのバンドを、LLO導入株では約40kDaのバンドを検出した。この分子量の違いはCry j 1_<158-329>(20kDa)の分子量と一致することから、導入したCry j 1_<158-329>は発現していると予想される。また、LLOからCry j 1_<158-329>にわたるシークエンスを増幅するようにデザインされたプライマーペアを用いたRT-PCRによって、Cry j 1_<158-329>mRNAの発現も確認した。これらの結果は、この組換えL.. caseiにおけるCry j 1_<158-329>の発現を示している。このリコンビナント乳酸菌によるIL-12P70誘導能をBALB/cマウスの脾臓細胞で検討した結果、 LLOの発現によってIL-12の産生が増強されることが明らかになった。
著者
阪口 雅弘 井上 栄 宮沢 博 岡部 俊成 安枝 浩 赤坂 徹 武藤 敦彦 田中 生男 Wu Chii-Huei Chapman Martin D. Schou Carsten
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.1309-1315, 1994
被引用文献数
10

クロゴキブリアレルゲンに対する感作状況を調べるため, 喘息児171名のゴキブリに対する IgE抗体陽性率と家庭内のゴキブリ主要アレルゲン量を測定した. 喘息児171名のクロゴキブリおよびチャバネゴキブリとダニに対する IgE抗体をCAP法で調べたところ, 喘息児の特異IgE陽性率はクロゴキブリ16%, チャバネゴキブリ9.9%とダニ85%に比べ, 低かった. ゴキブリアレルゲンは10軒中8軒にみられた. 居間, 台所, 寝具のゴミ中のゴキブリアレルゲンは台所で最も高かったが, いずれの場所でもダニアレルゲンに比べ, 低かった.
著者
後藤 純雄 高木 敬彦 阪口 雅弘 峯木 茂
出版者
麻布大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

環境空気浮遊粒子中の真菌類の存在実態を把握するため、粒径別分級採取法、分子マーカーのGC/MS分析法、リアルタイム濃度測定法などについて検討した結果、大学室内及び牛舎内空気で平均粒径1.1μmのステージに多く採取されたこと、室内空気中エルゴステロール濃度が0.067~4.2(平均1.1)ng/m^3となり屋外空気中のそれらとほぼ同等であったこと、レーザー照射蛍光測定装置を用いるとリアルタイム測定が可能であることなどを認めた。
著者
高橋 裕一 井上 栄 阪口 雅弘 片桐 進
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.39, no.12, pp.1612-1620, 1990
被引用文献数
7

我々は, Schumacherらにより開発されたfluorescence immunoblotting法を, 二次抗体に酸素標識抗体を用いることで肉眼または10×ルーペで花粉アレルゲンを判別できる方法に改良した.すなわち, Burkard捕集器の透明なテープ上に捕集した大気中の花粉アレルゲンをニトロセルロース膜に転写し, アレルゲンを抗Cry j Iウサギ血清または抗Lol p Iウサギ血清と反応させ, 次いでアルカリホスファターゼ標識F(ab')_2抗ウサギIgGで処理した.最後に, BCIP/NBT基質を加えることで青紫色のスポットを得た.この方法は, 従来用いられている形態観察による計数法のような熟練を必要としない.また, 共通抗原性を有する花粉全体を計数し得るため, ある花粉症患者の感作花粉アレルゲンの空中量を把握するにはすぐれた方法と考えられる.ただし, スギ花粉のように大量に飛散する花粉では, 試料捕集面積の0.16cm^2当たりに400個以上の花粉がみられた場合には, 花粉数が多く重なってしまい, スポット数として求めることができなかった.この場合には, 染色領域を1花粉の染色領域で除して算出する方式を試みた.しかし, 花粉症患者の原因物質量の把握という意味ではスポット数として計数するよりは, むしろデンシトメータを用い比色定量しアレルゲン濃度として表示する方式のほうが良いと思われる.