著者
木村 晶彦 Akihiko Kimura
出版者
同志社大学社会学会
雑誌
評論・社会科学 = Hyoron Shakaikagaku (Social Science Review) (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
no.96, pp.17-43, 2011-05-31

戦前期の日本のアニメーションには、キャラクターの複雑な心理描写が見られない。背景として、アメリカ製アニメーションのキャラクター表現の影響、及び戦時下におけるキャラクターへの多面的な感情付与、更には機械描写の写実的傾向が指摘されてきた。本稿では、1924(大正13)年から1944(昭和19)年にかけて製作された日本のアニメーションの製作手法に関する言説と、キャラクターの動きを主とした表象の量的分析を通して、キャラクターの感情表現の変遷過程を追った。