著者
戎谷 昭吾 稲川 喜一 長島 史明 木村 知己
出版者
一般社団法人 日本創傷外科学会
雑誌
創傷 (ISSN:1884880X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.47-53, 2015 (Released:2015-04-01)
参考文献数
12

下腿皮膚欠損創は下腿前面中央部では軟部組織に乏しく,骨露出や異物露出を伴う場合では治療に難渋することがある。1966 年に Ger が下肢潰瘍に対しヒラメ筋,腓腹筋内側頭を用いて再建を行って以来,今まで数多くの筋皮弁を用いて再建を行った報告がある。 今回われわれは下腿皮膚欠損創に対し,ヒラメ筋弁,内側腓腹筋弁,遠位茎の内側腓腹筋弁を用いて再建を行った 3 例を経験した。それぞれの筋弁に長所・短所があるが,特に遠位茎の内側腓腹筋弁の場合,血管茎が遠位側に存在するため,従来の腓腹筋弁では不可能であった下腿中央部での組織欠損に対しても使用することが可能であった。この方法はヒラメ筋弁のような煩雑な剥離作業がないため,手術手技は容易であり手術時間も短いため,多くの症例に対して使用することが可能である有用な筋弁であると考えられた。