著者
内野 博之 長島 史明 小林 賢礼 長倉 知輝 藤田 陽介 荻原 幸彦
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.457-474, 2017-07-15 (Released:2017-08-26)
参考文献数
74
被引用文献数
2

脳保護の主な目的は,術中・術後に脳の機能を保護することである.日々の臨床では,心肺バイパス手術,頚動脈内膜切除術(CEA),くも膜下出血の脳動脈瘤に対するクリッピング,脳卒中,外傷性脳損傷,心停止後症候群(PCAS)等々の管理に対しての注意を要する.われわれの管理が適切でない場合,患者の予後に悪影響を及ぼすことになる.これらの一次的な病態生理の類似性は,一過性の脳虚血を示すことである.神経集中治療の目的は,初期の病態生理に伴う脳損傷の進行を防ぐことである.急性期の脳保護を行うには,①心肺蘇生の後に早急に脳血流を回復することと②脳障害の進行を防ぐことである.心停止から蘇生される患者治療の主な目標は,心停止後症候群(PCAS)の予防である.現在,院外心停止患者や周産期脳虚血に対する低体温療法が神経学的予後を改善するというエビデンスが得られて来ている.本稿では,神経麻酔および神経集中治療における脳保護に焦点を当てて述べるとともに,麻酔薬の神経保護作用および神経毒性作用のメカニズムについても議論したい.
著者
戎谷 昭吾 稲川 喜一 長島 史明 木村 知己
出版者
一般社団法人 日本創傷外科学会
雑誌
創傷 (ISSN:1884880X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.47-53, 2015 (Released:2015-04-01)
参考文献数
12

下腿皮膚欠損創は下腿前面中央部では軟部組織に乏しく,骨露出や異物露出を伴う場合では治療に難渋することがある。1966 年に Ger が下肢潰瘍に対しヒラメ筋,腓腹筋内側頭を用いて再建を行って以来,今まで数多くの筋皮弁を用いて再建を行った報告がある。 今回われわれは下腿皮膚欠損創に対し,ヒラメ筋弁,内側腓腹筋弁,遠位茎の内側腓腹筋弁を用いて再建を行った 3 例を経験した。それぞれの筋弁に長所・短所があるが,特に遠位茎の内側腓腹筋弁の場合,血管茎が遠位側に存在するため,従来の腓腹筋弁では不可能であった下腿中央部での組織欠損に対しても使用することが可能であった。この方法はヒラメ筋弁のような煩雑な剥離作業がないため,手術手技は容易であり手術時間も短いため,多くの症例に対して使用することが可能である有用な筋弁であると考えられた。