- 著者
-
木村 秀喜
- 出版者
- 日本調理科学会
- 雑誌
- 日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
- 巻号頁・発行日
- pp.170, 2017 (Released:2017-08-31)
【目的】減塩レシピコンクールに砂糖で魚をしめ、酒粕に漬け、南蛮漬け風にしたところ美味しい料理が出来た。そこで砂糖で締め、酒粕に漬けた魚と塩でしめた魚の嗜好差の有無について検討した。【方法】塩で締めた標準試料と砂糖で締めた試料を2点嗜好試験で官能評価を実施し、全員が終了後に円卓法により意見を聴取した。パネルは魚食による食育活動を行っているボランティア団体企画員(スタッフ)15人、試料に用いた魚種は身が均質な小型のアンコウを用いた。試料は15gとした。標準試料15個に対し4%重量の食塩を振りまぶし、砂糖締めは食塩0gで同量の砂糖を振りまぶした。各々15分間放置し、粕床にリードペーパーで挟み20分間漬けた。各々米粉をまぶし、少量の植物油でソテーした。冷めた状態のものを喫食し、質問紙でどちらが好みかのみを聞いた。粕床は酒粕400g、本みりん200gをビニール袋に入れ、良く揉み、42℃のお湯につけ10分放置後、再び良く揉んだ。全体がなじみ、温度が上がったところでとりだし、1晩常温で放置したものを2セット準備した。円卓法はどちらを選択したかを通知後、自由に討議した。【結果】標準試料を好んだパネルは8人、砂糖で締めたものは7人で、試料間に統計的に有意な差はなかった。(α=5%)円卓法では、締まり方が砂糖の方が良かった、塩分添加がなくとも食べることができるが塩分があればより美味しいなどの意見があった。魚を砂糖で締めて粕漬にすることは、減塩で美味しい料理になる可能性が示唆された。今後は砂糖締めと酒粕漬による魚肉の変化、魚種、ソテー以外の調理法など、広く検討したい。