著者
直野 健 猪貝光祥 木立 啓之
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.87(2006-HPC-107), pp.181-186, 2006-07-31

高性能計算機のアーキテクチャが複雑になったため,高性能計算機向けに行列計算をチューニングするコストが多大なものになっている.そのコストを緩和するため,1990年代から自動チューニング方法が行列計算向けに研究されている.本稿の目的は,代表的な自動チューニング方法について動向をまとめることである.自動チューニング方法を分類し,動向を分析するために,行列ソフトウェア階層とソフトウェア開発サイクルの視点を用いた分析を行った.その結果,自動チューニング方法はより抽象度の高いソフトウェア階層へと進展しつつあることが分かった.また,今後の課題として,ソフトウェア開発サイクルにおける性能評価データがより多く必要であることが分かった.
著者
直野 健 猪貝 光祥 木立 啓之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌. コンピューティングシステム (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.35-43, 2005-05-15
参考文献数
13
被引用文献数
5

計算精度と計算時間の調整が課題であったグラムシュミット直交化処理において, 与えられた最低計算精度の範囲内で最速計算を実行する方法を提案した.本方法では, 性質の異なる古典グラムシュミット, 修正グラムシュミット, DGKS型グラムシュミットの処理を同時に実行し, ユーザが与えた精度と速度の要求に最も適合する計算結果を選択する徒競走方式を採用した.PC上で提案法を実行し, その効果を検証した結果, 従来手法では直交性誤差が10^<-8>を満たさなかったケースでその誤差を10^<-14>に低減できた.また, 計算時間についても最大約4.8倍の高速化を達成し, 精度と速度の両面で提案法が有効であることが明らかになった.