著者
山田 千春 末安 明美 西山 章弘
出版者
日本ヒューマンケア科学学会
雑誌
日本ヒューマンケア科学会誌 (ISSN:18826962)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.73-82, 2021 (Released:2021-12-24)
参考文献数
12

本研究は、高齢者のライフヒストリー・インタビューで語られる経験をもとに、高齢者の価値観形成過程に着目しながら、高齢者がどのような価値観に基づいて今を生きているのか、看護系大学生(以下、学生)がどのように捉えているのかを明らかにすることである。学生が捉えた高齢者の価値観形成過程としては、【つらい過去を生きる力に転換】【積み重ねた経験による価値観の形成】【悔いのない生き方の模索】【生き方・死に方の再定義】が抽出された。また、高齢者を支える価値観としては、【平和な日常への感謝】【ありのままの心とからだの受容】【自己への信頼】【人とのつながり】【世代を紡ぐ役割】が明らかとなった。高齢者の長い人生の時間軸に沿った価値観形成過程や、“平和”“自己受容” “人間関係”など現在の高齢者を支えている価値観に着目することは、学生の高齢者の見方を変化させるきっかけとなり、高齢者理解をより深化させる機会となる。