著者
末弘 淳一
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

血管内皮増殖因子により誘導される転写因子Egr-1、Egr-3は内皮活性化において中心的役割を果たす。Egr-1、Egr-3遺伝子についてsiRNAを用いたマイクロアレイ・ChIP-seq解析による標的遺伝子の網羅的探索を行ったところ、新規Egr標的遺伝子としてRho GTPaseであるRND1を見出だした。RND1遺伝子周辺のEgr結合領域は転写開始点上流25kbに存在し、レポータ解析からエンハンサ-として働いていることが示された。また、RND1は転写因子NFATcの制御下にありEgr/NFATcシグナルが内皮活性化において重要であることが示された。RND1抑制下で内皮細胞の機能解析を行ったところ増殖、遊走、管腔形成、内皮バリア機能が損なわれた。個体レベルでの解析ではEgr-3抑制下ではB16メラノーマ固形腫瘍進展に阻害が見られる一方、Egr-1ノックアウトマウスにおいて野生型マウスと差異が認められず、in vivoにおける機能の差異が明らかとなった。