- 著者
-
末次 祐介
- 出版者
- 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
- 雑誌
- 挑戦的萌芽研究
- 巻号頁・発行日
- 2009
本研究は、超音波モータに利用されている金属体表面に励起される超音波(表面波)を応用して、マイクロマシン等にも適用可能なマイクロ(極小)気体・真空ポンプを開発研究することが目的であった。当初の計画に従い、市販の超音波モータを選定・購入し、ポンプ(モータ素子)を収めるケース内に設置してその基本特性を調べた。その結果、[1]液体については、モータの回転方向(つまり表面波の進行方向)に液体が輸送されること、[2]気体(空気)については、モータ駆動中ケースに開けた小孔から気体が流出すること、が確認され、液体・気体の輸送が可能である感触が得られた。しかし、[1]市販の超音波モータでは表面波発生部が平面ではない(モータ専用のため)、[2]ポンプケースに隙間が多い(空気が漏れる)、等の問題から"ポンプ"としての性能を確認するまでには至らなかった。そこで、超音波モータ製作会社とも相談し、表面波発生部が平面である特殊なモータ素子を製作し、そのモータ素子に密着するケースも新たに製作して、再度動作確認試験を行うことにした。しかし、モータが特殊であるためその製作に時間がかかり、また、ケース設計にも多くの課題があったことから、平成21年度内には実験結果を出すことはできなかった。しかし、現在、特注モータおよびその駆動電源、新ポンプケース、そして真空ポンプとしての試験用の真空チェンバー、真空ゲージ等を購入しており、引き続き基礎実験を続ける準備は整っている。これらを使用して、今後も本マイクロポンプの開発研究を継続していく予定である。