著者
末田 啓二
出版者
学校法人 甲子園短期大学
雑誌
甲子園短期大学紀要 (ISSN:0912506X)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.1-6, 2020-03-10 (Released:2020-04-24)
参考文献数
12

要 旨 著者らはアニミズム心性に関する一連の研究を通して、わが国ではアニミズム心性が幼児期特有の心性ではなく、児童から老年に至るまで全世代に共通したパーソナリティ特性であることを明らかにした。従来の発達研究ではアニミズム思考は幼児期特有の未熟な思考形態で、脱中心化が進むにつれて次第に消失していく思考と考えられてきた。 本論ではアニミズム心性が思考や認知能力の発達、さらには社会性や人格発達に伴って次第に低減するような未熟なパーソナリティ特性なのかどうかを、アニメ文化と関連づける中で論じた。その結果、アニミズム心性はアニメ文化と同様、未熟で幼児性の強い思考や感覚ではなく、成人が普遍的に所有する適応様式の一部分であることが示唆された。
著者
末田 啓二
出版者
学校法人 甲子園短期大学
雑誌
甲子園短期大学紀要 (ISSN:0912506X)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.15-21, 2021-03-15 (Released:2021-05-29)
参考文献数
19

人口の高齢化が加速度的に進む中で、高齢者の在宅介護に関する取り組みはわが国においては喫緊の社会的課題である。 本稿では高齢者介護の現状を概観し、家族介護に伴う心理的ストレスの背景に触れ、これまで提起されてきたストレスへの対応モデルを紹介し、ストレス軽減効果の研究を通して、介護ストレスが介護うつなど介護者の心身の不調や病気をもたらすだけでなく、時には介護者の生きがいやレジリエンスを強化したり、心理的安定へと向かう効果を持つ側面も存在することを指摘した。 介護ストレスの軽減効果はストレスのpositiveな側面を強調した介入によって、効果はより高まることが示唆された。