著者
本間 禎一 本保 元次郎
出版者
千葉工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

配向組織をもつ結晶性金属材料の3次元配向情報を、高い空間分解能(目標≦1mm)で非破壊的に求める解析・評価法を開発するための基礎研究が行なわれ、つぎの成果を得た。1. 3次元結晶配向X線トポグラフ測定装置の開発先端材料の一つである一方向凝固共晶合金を対象として、その凝固組織の非破壊測定法を開発するために、金属単結晶の凝固一次組織の評価に応用された長隙ラウエ法による3次元結晶配向X線トポグラフ測定装置を改良して、新しい機能をもつ測定システムを試作した。長隙スリット[(1段)長さ200mm,幅10mm,厚さ5mm,(2段)長さ100mm,幅1mm,厚さ5mm]により近似的に平行に絞られた長隙白色X線平板ビームを試料に照射して、得られる回折像を写真フィルムに記録した。透過に加え反射像も得られた。2. 結晶配向組織情報の非破壊収集凝固速度を制御した条件(100,300,500mm/min)下で、大野式 Strip Casting(OSC)法で作成した、凝固組織の制御された板状アルミニウムを試料として用いた。凝固速度が遅い(100mm/min),強く配向した試料からは、凝固方向に平行にのびたラウエ線条が明瞭に観察され、凝固速度の増大に伴い、配向性の低下に対応する像の変化が観察された。これは、内部の金属組織情報(破壊法による)と一致する結果であった。