著者
本間 禎一
出版者
Japan Society of Corrosion Engineering
雑誌
防食技術 (ISSN:00109355)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.251-265, 1976-04-15 (Released:2009-10-30)
参考文献数
62
被引用文献数
13 4

This review makes a survey on that the behaviors and the mechanisms proposed of both the stress generation in oxide films and the plastic deformations of oxides at high temperatures, and discusses a role of the mechanical properties of the oxide films in the oxidation of metals. It suggests that the kinetic studies of some oxidation reactions need to be examined again with the mechanical properties of the oxide included in the considerations.
著者
本間 禎一 木原 諄二 小林 正典 岡野 達雄 藤田 大介
出版者
東京大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1988

極高真空発生のための技術開発の基礎研究として進められた。到達真空度はポンプの性能と材料のガス放出によって決まるが、本研究ではポンプの具体的内容には言及せず、ポンプ構成材を含めた材料のガス放出の機構・評価・制御について扱っている。特にガス放出の定量とメカニズムの解明のために2種類の手法(昇温脱離TDS法とスル-プット法)を用い、またガス放出低減化のための手法も検討して以下の成果を得た。1.ガス放出機構を調べるためのTDS法の手法・装置試作・開発ガス放出機構を基礎的に調べる目的でTDS法を採用した。放出機構評価のためのパラメ-タ-である吸着分子の脱離の活性化エネルギ-、脱離の反応機構、拡散放出の場合の拡散係数などの信頼できる情報を得るために歪のないスペクトルを測定する最適条件、加熱方式を検討した。この考察に基づき、更に表面評価機能(低速電子線回折/オ-ジエ電子分光・光学系)を加えたTDS測定装置を試作した。2.ガス放出量評価のためのスル-プット法測定装置試作と測定スル-プット法に基づくガス放出速度測定装置を試作し、それを用いて各種表面処理(電解複合研磨、バフ研磨、TiN被覆)を施したステンレス剛製真空容器から放出されるガス放出速度を測定した。表面平滑化効果とそのベ-キング後の消失、電解複合研磨処理試料の大気暴露後の分圧(H_2O、H_2、CO、CO_2)測定による新しい知見、温度変動に追随する脱離挙動などの機構解明にもつながる情報・知見が得られた。3.表面改質ガス放出特性を向上させるための表面及び表層の改質方法について考察し、表面析出法(BNおよびグラファイト状炭素)によって低ガス放出材料が得られる可能性があることを示した。
著者
本間 禎一 藤田 大介
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1986

1.アルミニウムの表層構造--放射光による圧力上昇が見出された加速器真空系の主要構造材料であるアルミニウム合金について表層構造の調査を行い以下の結果を得た. (1)電解研摩を施したアルミニウム合金(含マグネシウム合金)の表面に形成する初期酸化層は非晶質の水和酸化物であり, 真空中加熱で脱水して欠陥を含む非晶質構造となる. その構造はγ-AL_2O_3またはそれにほぼ相当するものでることが電子線回折による既約動径分布関数解析から推定された. (2)加熱に伴い, Mgはこの非晶質酸化層中の不整合領域を介して短回路拡散機構などにより輸送され, MgO外層の形成をもたらす. (3)MgOの外層形成はベーキング温度相当の150°Cにおいても進行する.2.ガス放出における表層構造の影響--表面からの気体放出特性およびベーク・アウト効果に及ぼす表層構造の影響を明らかにする目的で昇温脱離実験を行い以下の結果を得た. (1)電解研摩を施した表面は, 加熱に伴って, 100°Cを超えると表層の熱分解によると思われる急激なガス放出現象がすべての気体種(H_2O, H_2, CO, CO_2)で見られる. (2)AL-2.3%Mg合金の酸化表面は, 大気露出に際してCOガスを除く他の気体種(H_2O, H_2, CO_2の化学吸着が見られる. (3)ガス放出特性と表層構造との間に相関が見られた. 3.光照射に伴うガス放出と表層構造の役割--光照射に伴うガス放出の機構と表層構造の影響を明らかにする目的で, 表層構造の異なるアルミニウム材料について光照射実験を行い以下の結果を得た. (1)陽極酸化, 電解研摩, 高温酸化(500°C, 10Torr, 純酸素中1h)をそれぞれ施した表面に, 高エネルギ物理学研究所の放射光を照射して放出ガス量を測定した. 光子数で規格化した脱離係数値は, 陽極酸化>電解研摩>高温酸化であった. (2)光照射に伴うガス放出が表層の構造と化学的性質(水和度)の影響を受けることを実験的に見出した.
著者
本間 禎一
出版者
千葉工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本申請者(本間)が先に行なった「極高真空用材料の高度化に関する開発研究」の成果として、新しい表面改質法である、ステンレス鋼の表面に六方晶-BNを配向析出させる処理法は、表面からのガス放出率の低減をもたらすだけではなく、放出されるガス分圧の制御にもとづく“真空の室"の制御をも可能にし、ベ-キングの不要な表面の実現を可能にする。そこで本研究では、この表面の吸着不活性特性を利用するとともに、内部からの溶解気体原子(水素など)の拡散、放出へのバリヤ-ともなるBN層の最適析出条件を見出すことを目的として、研究を行なった。とくに、表面析出プロセスを、超平滑表面の平滑度および加工変質層の評価・制御と結びつけて解析する点に学術的特色がある。つぎの成果が得られた。1.BN析出のような表面付加加工において、加工変質層形成の影響を解明する目的で、各種の表面平滑加工(バフ研磨(BP)、電解研磨(EP)、電解複合研磨(ECB)、フロート・ポリッシュ(EP)を施したステンレス鋼(含B,N)の各加工面表層に生じる金属組織的変質の解析を電子チヤンネリングパターン法などで行なった。加工変質層の導入が少ない表面(EP,FP)に、強く配向したBNが析出することが明らかにされた。2.六方晶-BNの底面が表面に強く配向して析出した表面(EP,FP)は、昇温脱離法によるガス(H_2Oなど)の吸着・脱離特性の評価からガス吸着が極めて少ないことが示された。3.新しい真空用構造材料として注目されているチタンについても、H_2Oのガス放出特性が加工変質層と強く相関していることが明らかにされた。
著者
本間 禎一 本保 元次郎
出版者
千葉工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

配向組織をもつ結晶性金属材料の3次元配向情報を、高い空間分解能(目標≦1mm)で非破壊的に求める解析・評価法を開発するための基礎研究が行なわれ、つぎの成果を得た。1. 3次元結晶配向X線トポグラフ測定装置の開発先端材料の一つである一方向凝固共晶合金を対象として、その凝固組織の非破壊測定法を開発するために、金属単結晶の凝固一次組織の評価に応用された長隙ラウエ法による3次元結晶配向X線トポグラフ測定装置を改良して、新しい機能をもつ測定システムを試作した。長隙スリット[(1段)長さ200mm,幅10mm,厚さ5mm,(2段)長さ100mm,幅1mm,厚さ5mm]により近似的に平行に絞られた長隙白色X線平板ビームを試料に照射して、得られる回折像を写真フィルムに記録した。透過に加え反射像も得られた。2. 結晶配向組織情報の非破壊収集凝固速度を制御した条件(100,300,500mm/min)下で、大野式 Strip Casting(OSC)法で作成した、凝固組織の制御された板状アルミニウムを試料として用いた。凝固速度が遅い(100mm/min),強く配向した試料からは、凝固方向に平行にのびたラウエ線条が明瞭に観察され、凝固速度の増大に伴い、配向性の低下に対応する像の変化が観察された。これは、内部の金属組織情報(破壊法による)と一致する結果であった。