著者
佐々木 均 本多 寛子
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
巻号頁・発行日
vol.64, pp.70-70, 2012

北海道内における吸血性アブ相を把握するとともに,蔓延する牛白血病対策の基礎資料を得る目的で,2011年7月7日から同年9月15日までの期間,隔週1回,計5回(9月1日は雨天のため中止),北海道檜山管内江差町にある元山牧場(41°52'9.1"N, 140°11'14.6"E)で,ボンベから1,500ml/min.放出される二酸化炭素を化学的誘引源とするNZIトラップを用いて吸血性アブ類の捕獲調査を行い,ニッポンシロフアブを最優位種 (5,551個体,58.57%)とし,ヤマトアブ (2,862個体,30.20%),キンイロアブ(540個体,5.70%)と続く,5属12種合計9,478個体を得た.1トラップ1時間当たりの捕獲数は,7月中旬と8月中旬にピークを示しその後減少する双峰型の消長を示したが,ニッポンシロフアブは 7月中旬に,ヤマトアブは8月中旬にそれぞれピークを持つ単峰型の消長を示し,種によってピークの時期が異なる傾向を示した. 7月21日,8月5,19日には,朝8:30から16:30まで1時間毎に捕獲された個体を回収して日周活動性を調査したが,気温の上昇に連動する形の消長を示した.得られた種類は,これまでの調査で記録された種のみであったが,種構成の変遷と発生消長についてはこれまで調査されておらず,本調査によって短い発生期間ながら,時期によって牛白血病媒介種として防除対象となる種が 7月 8月の2ヶ月はニッポンシロフアブ,8月中旬はヤマトアブと異なることが明らかになった.