著者
田中 耕太郎 中桐 俊男 藤井 孝博 本多 武夫
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.73-78, 2004 (Released:2004-12-07)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

アルカリ金属熱電変換(AMTEC)のカソード側電極内の物質移動とその経時変化特性は出力性能に大きく影響する要因である. Mo電極の性能は1100 K以上の温度域で急激に劣化することが既に報告されている. しかしより低い温度域では, Mo電極の高い初期性能はより長時間維持される可能性がある. 本研究では温度範囲900-1050 Kにおいて, Na低圧蒸気雰囲気を利用する電極評価セル(SETC)による実験を実施した. 電極の限界電流密度を測定し, Na物質移動特性を自由分子流と仮定した無次元形状係数Gにより評価した. Mo電極部温度904 K, 1007 K, 1056 Kの作動条件において, 約100-150時間でGはそれぞれ20, 78, 122の一定値に収束する結果を得た. 904 Kの測定結果よりAMTEC 出力特性を検討すると, 従来のTiN電極(G = 150)と比較してMo電極は約50%の出力増加が期待できることを明らかにした.