著者
真辺 忠夫 鈴木 敞 本庄 一夫
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, pp.466-471, 1975-09
被引用文献数
1

肝動脈結紮後の早期死亡例について検討した結果, それらはいずれも種々の程度の肝壊死を伴い, 腎, 脳, 消化管などの全身諸臓器障害が高頻度にみとめられた. これらの原因を究明すべく家兎肝の 20% 領域の肝壊死を作成し, 血行動態面よりの観察を行つた. 肝壊死作成24時間後, 門脈域をはじめ腎, 心, 膵, 副腎, 脳に著明な血流低下がみとめられ, 肝壊死除去後もこれらの血流障害の回復は遅刻し, 肝壊死に伴う臓器障害原因として血流障害が重要な要因をなしていることが明かとなつた. さらに膵外分泌腺癈家兎に肝壊死を作成すると諸臓器血流障害は, きわめて軽微であり, 膵が肝壊死時の血流障害発症機転に密に関与していることが示された.