著者
本村 信幸
出版者
日本生活体験学習学会
雑誌
生活体験学習研究 (ISSN:13461796)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.73-75, 2002-07

テレビゲーム中心で会話のない我が子のあそびを目の当たりにして、これを現代的な課題ととらえ、生活体験のチャンスを設けることで、子どもの生きる力を育むことができるであろうと始めた事業である。日時を決めて「さあ出発!」とは行かない。地域や保護者の理解、子ども達の意欲の喚起、子どもだけの作戦会議、支援者の選定などなど事前の準備には相当の期間を費やした。なかでも「地域の人と共に学ぶPTA 研修」は人集めに苦労し、合宿対象となる保護者の意識高揚とまでは至らなかった。子どもは、家事のすべてを協力して行い、風呂は近所の高齢者宅へ「もらい風呂」に出向き、人の心の温かさにふれ苦しい中にも楽しい合宿であった。「人と人とのもみ合いがない今こそ、この試みは大事..」と強く実感しました。この取り組みをとおして、子離れできない親、地域と交流のない家庭、現代の家庭が抱えるさまざまな問題が見えると同時に関わった住民に笑顔が広がり、家庭・地域の教育力再生へ向けた試みであったように思います。