著者
本橋 ほづみ
出版者
学研メディカル秀潤社
雑誌
細胞工学 (ISSN:02873796)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.364-365, 2015-03-22

生体が,様々な生命活動を維持するには,自由エネルギーの持続的な取得が必要である.生化学の教科書によれば,生体が生命活動に必要な自由エネルギーを取り入れて利用するプロセスを代謝と呼び,自由エネルギーを取り出す過程は異化,生体分子を合成する過程は同化として区別されている.一方,代謝中間体が,自由エネルギーのやり取りとは必ずしも直結しない生命活動に重要な役割を果たしていることも明らかにされている.クエン酸回路の中間体である2-オキソグルタル酸は,低酸素応答の鍵因子であるHIF因子群の活性制御や,コラーゲンタンパク質の成熟,ヒストンやDNAの脱メチル化などに重要な役割を果たしている.同じくクエン酸回路の中間体であるフマル酸は,その親電子性により,様々なタンパク質のシステイン残基に共有結合し,サクシネーション(succination)と称される新しい翻訳後修飾をもたらすことが報告されている.このように,代謝中間体とタンパク質機能との新しい関係の解明から,生命活動における「代謝」の意義が見直され始めている.
著者
山本 雅之 勝岡 史城 峯岸 直子 本橋 ほづみ 黒河 博文 鈴木 教郎 森口 尚 鈴木 隆史 田口 恵子
出版者
東北大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2007

生体は、環境ストレスに適切に応答して恒常性を維持している。本研究は、酸化ストレス・異物に対するセンサーであるKeap1-Nrf2システムを検証し、ストレス感知の新たな分子機構、疾患との関連を明らかにした。また、低酸素ストレスについては、エリスロポエチン遺伝子の発現制御を通じて、組織ごとに異なる多様な低酸素応答に対する遺伝子発現制御機構について新たな知見を得た。