著者
本田 孝雄
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
MEDCHEM NEWS (ISSN:24328618)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.116-121, 2021-08-01 (Released:2021-08-01)

約7、8年前から始まったグローバルファーマの本邦における本格的なオープンイノベーション活動は、ますます勢いを増している。各社とも外部案件評価のための陣容を整え、国内外を問わず新規技術を含めた候補案件獲得に全力を注いでいる。最近では、自社創薬成功確率の大幅な低下に加えて、医薬品市場では、同一作用機序において世界の2、3番手に入らないかぎり、たとえ上市しても十分な売上げが見込めないことから、弊社(イーライリリー)では、案件評価にはビジネス担当者のみならず自社研究者を交えて、質の高い多角的な評価を行い、早期の意思決定を可能にしている。イノベーションは世界中のどこにでも起こるので、それを早期かつタイムリーに獲得することが重要である。本稿では、弊社がこれまで実施してきたこと、また、筆者自身が常日頃、業務を通して経験し、感じていることを、特に医科学分野の研究に従事している若手研究者に伝えたい。