著者
本田 由貴
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2017-04-26

イミキモド誘発性尋常性乾癬様皮膚炎モデルマウスを用いてリノール酸およびαリノレン酸よりそれぞれ代謝産生されるHYA、KetoA、αHYA、αKetoAの効果を検討した。これらの4種類の不飽和脂肪酸代謝産物のうち、αKetoAについてのみ、容量依存性の耳介厚抑制効果を認めた。αKetoA投与群において、病態の中心と考えられているIL-17A産生細胞の浸潤や好中球の浸潤についてフローサイトメトリーを用いて確認したところ、それらの細胞浸潤については抑制効果を示さなかった。次に皮膚組織切片についてヘマトキシリンエオジン染色を行い、組織学的に解析したことろ、αKetoA投与群では表皮の肥厚が軽度に抑制されていることが示唆された。そこで、まずRT-PCRにて尋常性乾癬の病態、表皮肥厚に関与していると考えられているサイトカインおよびケモカインのmRNA産生を調べた。その結果IL-23p19,IL-17A,IL-1β,CCL20,S100A8,Keratine17についてはαKatoA投与群でもコントロール群と同様に発現上昇を認めた。しかし、表皮肥厚に関与していると考えられているIL-22に関しては、αKetoA投与群で軽度ではあるが、優位な発現減少を認めた。次にタンパクレベルでの発現の違いを調べるために、フローサイトメトリーを用いて、IL-22産生細胞数を測定した。その結果、IL-22産生細胞数についてはコントロール群とαKetoA投与群で優位な差を認めなかった。RT-PCRの結果からはαKetoAがIL-22産生をmRNAレベルで抑制している可能性が示唆されたが、フローサイトメトリーの結果からはその抑制効果は明らかでなく、別のメカニズムが関与している可能性が考えられた。