著者
照屋 和久 升間 主計 本藤 靖 浜崎 活幸
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 = The aquiculture (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.359-368, 2008-09-20

石垣島におけるマダラハタの産卵期および産卵開始時期を明らかにする目的で,天然魚の生殖腺指数を調査するとともに,天然魚を数年間養成した親魚の水槽内における産卵開始時期を5年間にわたり調査した。さらに,親魚の産卵行動を観察し,本種の配偶システムを明らかにすることを試みた。天然魚の主要な産卵期は,雌雄とも生殖腺指数がピークに達する4月~5月(太陽暦)であると推察された。産卵期最初の親魚の産卵は,満月から下弦の月にかけての3月19日~23日(太陰暦)に集中した。ただし,産卵期前の水温が低い年の産卵は,1カ月後の満月から下弦の月の期間にシフトした。このように,マダラハタの産卵は月齢に同調していた。水槽内では最大の雄1個体がなわばりを形成し,その個体と成熟雌によるペア産卵が行われたが,小型雄によるスニーキングも観察された。