著者
本間 克明 酒井 律子 武島 晶子 島森 美光 早瀬 幸俊
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 = Journal of the Pharmaceutical Society of Japan (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.124, no.10, pp.693-697, 2004-10-01
参考文献数
5
被引用文献数
1

生活環境の改善や医学の進歩等により, わが国の平均寿命は平成13年では男性78.07年, 女性84.93年となり, 1)世界有数の長寿国となっている. そして, 65歳以上の高齢者人口は平成12年でおよそ2200万人と総人口の17.4%を占めており, 平成27年には26%台となり, さらに平成42年には29.6%, 平成62年には35.7%に達すると推計されている. 2)このような急速な高齢化の進展や疾病構造の変化等によりわが国の医療をとりまく環境は大きく変化しており, それに伴い国民医療費は年々増大し, 平成11年度には約30兆円に到達した. 年齢階級別国民医療費を平成12年度で見ると, 65歳以上の医療費が約12兆円で, 実に50%を占めるに至っており, これを1人当たりの医療費で見ると, 15歳から44歳が約7万円, 45歳から64歳が約19万円であるのに対して, 65歳以上では約54万円, 70歳以上では約63万円, 75歳以上では約70万円と15歳から44歳及び45歳から64歳の医療費に比べて, それぞれ約3倍から10倍高くなっている. 3)この原因としては高齢者は受診率が高く, また重症化し易く, かつ治療には長期間かかることなどが考えられている.