著者
"本間 邦則"
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.219-227, 1990

"現在,ヨードチンキはもっともひろく応用されている薬品の一つである.ヨウ素剤は古くから応用されていたことが知られているが,臨床にひろく普及するのは1822年にS. Serullasがヨードホルムを発見してからのことであろう.1884年にはH.C.J. Gramが細菌染色にも応用することを発見してから,より一層医学への応用範囲がひろくなった.このようなヨウ素剤の応用の歴史について調査を試みたので報告する."
著者
本間 邦則
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.250-251, 1986-06-25

歯の硬組織の構成について,イギリスの比較解剖学者Richard Owen(1804〜1892)はつぎのように述べている.「歯の主要部を形成しているのをbone of toothまたはtooth-bone (歯骨)と呼んでいるが,それのかわりにdentine(象牙質)という用語を提案する.第2の組織としてCaementamといかれ,J.R. TenonによりCortex osseusと,またR. BlakeによりCrusta petrosaと名づけられているのをcement(セメント質)呼び,象牙質とセメント質との間に存在する第3の組織はEncaustum, Adamas,あるいはSubstantia vitreaなどと称されているが,enamel(エナメル質)とすべきである」.すなわちR. Owenにより1840(天保11)年に歯の硬組織はそれぞれ命名され統一されたものと思われる.そこで,これらの歯の硬組織の構成要素の名称の由来について考察してみたいと思う.