著者
朱 亮
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本マネジメント学会全国研究大会報告要旨集
巻号頁・発行日
no.72, pp.77-80, 2015-10-23

本稿は、ドラッカーが日本の経営者の戦略形成にどのような影響を与えたのかについての解明を目指すものである。日本では、経営者の戦略形成とドラッカー経営論との関連性に関する研究はほとんどない。そこで本稿は、ドラッカー経営論および最新の「DC戦略論」に関連させながら日本の経営者の経営実践に関する事例検討を行い、ひいては、理論と実践の統合を図っていくことに資するようにする。本稿は、事例研究の対象としてファーストリテイリング・経営者の柳井正氏に注目する。ファーストリテイリングは、日本を代表するSPAである。柳井氏は、成長戦略を徹底しており、これまでのファーストリテイリングの躍進にとって欠かせない存在である。本稿は、柳井氏の経営実践における課題をドラッカー経営論と河合忠彦教授が提唱した「DC戦略論」に関連させながら事例研究を行った結果、柳井氏が最新の「DC戦略」を実践しえた根拠を明らかにした。つまり、早い段階で「DC戦略」を提示したドラッカー経営論は、柳井氏による独自の経営戦略を形づくるうえで、多大な影響を与えており、ドラッカー経営論の汎用性と実践的な応用性が高いことを日本の小売企業において明らかにすることができた。したがって、ドラッカー経営論は最新の「DC戦略論」の実践を可能にした。