著者
朴 びよん渡
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

富士写真フィルム社製の通称「OPERAフィルム」、原子核乳剤を48ミクロンの厚さで厚さ200ミクロンのTACフィルムの両面に塗布した構造の原子核乾板を使って、高度1万メートルの上空での宇宙線飛跡の強度の測定を行った。原子核乳剤の表面は厚さ1ミクロンのゼラチン膜で保護されている。手荷物検査のX線をシールドする厚さ1mmの鉛板とOPERAフィルム(面積10cm*12cm)2枚を密着して、黒色の多層ラミネートフィルムで真空パックして、手荷物の状態で、国際線の旅客機で米国のシカゴに飛び、シカゴでフィルムの向きを変えて再度真空パックして日本に持ち帰った。それを現像し、飛跡読み取り装置S-UTSによって、乾板面に対する角度45度までの直線状飛跡で、最少電離粒子を含む全ての飛跡を読み出した。読み出した面積は100cm^2である。往路の飛跡、復路の飛跡、パックする以前からの飛跡の3つのタイプに分類する解析を行っている。OPERAフィルムに記録される直線状の飛跡は、1MeV程度の自然放射能由来の飛跡とは明快に識別できることが確認できた。2006年秋の日本物理学会で結果の一部を発表した。