著者
〓 良燮 朴 奎澤
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.75-82, 1992

韓国産Lobesia属(鱗翅目,ハマキガ科)についてはMicrolepidoptera of Korea(朴, 1983)において, L. coccophaga FalkovitshとL. permixtana Hubner (=reliquana Hubner)の2種が記録されていたにすぎない.今回,韓国の昆虫系統分類研究センターに所蔵されているものを中心に詳細な比較検討を行った結果,従来韓国から知られていた種以外に,3新記録種(virulenta Bae & Komai, yasudai Bae & Komai, aeolopa Meyrick), 1新種(pyriformis Bae & Park)を含む計6種を認めた. 1. Lobesia reliquana (Hubner)分布:韓国(江原, Gangweon Prov.);日本;ユーラシア大陸に広く分布する.寄主植物:モモ. 2. Lobesia virulenta Bae & Komai (韓国新記録種)分布:韓国(江原, Gangweon Prov., 京畿, Gyunggi Prov.,全南, Jeonnam Prov.);日本.寄主植物:韓国では不明.日本ではカラマツ,ナシ,エゴノネコアシアブラムシのゴールなど. 3. Lobesia yasudai Bae & Komai (韓国新記録種)分布:韓国(江原, Gangweon Prov.);日本.寄主植物:韓国では不明.日本ではノリウツギ,ハマナス,シュウリサクラが記録されている. 4. Lobesia pyriformis Bae & Park (新種)以上の3種とよく似ているが,本種の前翅は他種に比べて前縁がやや突出し,黄褐色の斑紋が明瞭に現れることにより他種から区別できる.雄交尾器では幅広いvalvaと短いcucullusをもち,雌交尾器はやや長いナシ形を呈することにより特徴づけられる.分布:韓国(京畿, Gyunggi Prov.).寄主植物:不明. 5. Lobesia aeolopa Meyrick (韓国新記録種)分布:韓国(済州島, Jeju Is.);日本;南アジアに広く分布する.寄主植物:韓国では不明.国外ではアキニレ,ビワ,ソメイヨシノ,ミカン属,ブドウ,チャ,カキなどが記録されている. 6. Lobesia coccophaga Falkovitsh 分布:韓国(京畿, Gyunggi Prov.);日本;沿海州.寄主植物:スイカズラ.