著者
杉原 慶治 真田 俊之 城田 農 渡部 正夫
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.402-408, 2007-09-20
参考文献数
20
被引用文献数
1 21

超純水中での単一気泡の挙動を定量的に計測・評価した.超純水製造装置で精製した水の純度を保つため,異物の混入や溶出を抑えた材質の配管・水槽を用いて実験系を構築し,テストセクション出口側で比抵抗値およびTOC値を計測することで,水の純度を定量的に評価した.実験は,超純水中に単一気泡を発生させ,高速度ビデオカメラを用い気泡挙動を,スチルカメラを用いて気泡形状をそれぞれ詳細に観察した.まず,気泡が直線運動からジグザグ・螺旋運動に遷移する臨界<i>Re</i>数を調べ,<i>Re</i>=650程度では気泡が終端速度に達した後100 mm程度も直線上昇しその後遷移したのに対し,<i>Re</i>=700程度では終端速度に達すると直ちに遷移を行い,臨界<i>Re</i>数は一意に決定できなかった.定常状態の気泡の上昇速度や抗力係数を調べ,半径<i>r</i><0.5 mm程度では理論解とほぼ一致するが,<i>r</i>>0.5 mmでは実験値と理論解のかい離が観察された.また気泡形状を,ルジャンドル関数を用いて定量的に評価を行い,気泡形状と抗力係数との比較を行った.さらに気泡形状を表現する新たな実験式を提案した.