- 著者
-
杉山 典子
- 出版者
- 鶴見大学
- 雑誌
- 若手研究(スタートアップ)
- 巻号頁・発行日
- 2007
日本語は、漢字仮名交じり文を主とする特徴的な文字体系を有している。かかる表記は、研究者間に留まらず、国内外で広く関心を集めている。とりわけ近年では歌の書かれた木簡が相次いで発掘の成果されており、現代日本語の特殊な形式に繋がる古代日本語の書記法は、さらに注目されることとなった。本研究は、古代の書記資料として最大の万葉集を対象として、和歌集という文芸作品における古代日本語の書記法の展開と表現との関わりを明らかにした。具体的には、以下の3点を中心に調査を行い、その成果を論文形式で公表した。(1)平安期以降の仮名万葉に採録された歌の原表記を調査、比較し、平仮名に変換された際の表現の変化を分析した。(2)仮名表記された歌における助辞の機能を調査した。特に大伴家持作歌に注目し、注記の文字との共通性とその傾向をデータ化、分析した。(3)奈良から平安期の和歌における表現形式化についての調査を行った。