著者
久保田 彰 古川 まどか 小松 正規 花村 英明 杉山 正人
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.109, no.3, pp.149-156, 2006-03-20
被引用文献数
2 4

化学放射線同時併用療法(CDDP/5-FU)後のadjuvant chemotherapyの有用性を検討した.対象は前治療のない根治切除可能な頭頸部扁平上皮癌の41例で,病期はIIIが9例,IVが32例で,下咽頭が14例,喉頭が12例,口腔が9例,中咽頭が6例であった.放射線終了1ヵ月後から外来でUFTE顆粒を400mg/日の連日内服とNedaplatinを80mg/m<sup>2</sup>の点滴を4週ごとに6コースを計画した27例をadjuvant群とし,adjuvant chemotherapyを希望しなかった14例を対照群として生存率,progression free survival (PFS)率をWilcoxon法で検定した.Adjuvant群の投与回数の中央値は6コース(1-6コース)でgrade3の毒性は白血球減少を15.4%,血小板減少を7.7%に認めた.1例が胃潰瘍で死亡した.生存期間の平均はadjuvant群が30.1月(5.5-50.1月),対照群は21.7月(6.6-48.3)で,PFSの平均はadjuvant群が22.8月(3.6-50.1月),対照群は16.3月(4.0-48.8月)であった.2年生存率はadjuvant群が73.7%,対照群が55.7%で,2年PFS率はadjuvant群が66.9%と対照群の27.8%より有意に良好であった(p=0.03290).特に同時併用の奏効度がPRではadjuvant群の2年PFS率は59.3%と対照群の15.6%より良好であった(p=0.01102).局所•頸部リンパ節再発はadjuvant群が29.6%と対照群の64.3%より低い傾向であった(p=0.0716).両群とも遠隔転移はなかった.臓器温存率はadjuvant群が66.7%と対照群の35.7%より高かった(p=0.1183).化学放射線同時併用療法後のadjuvant chemotherapyは局所再発率を減少することが示唆された.