著者
大倉 計美 杉山 雅英 嵯峨山 茂樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.12, pp.2469-2476, 1993-12-25
参考文献数
17
被引用文献数
34

混合ガウス分布型HMMにおける話者適応方式である「移動ベクトル場平滑化話者適応方式」を提案する.本手法は,話者適応の問題を少量学習音声資料を用いたHMMの再学習による分布の移動問題としてとらえ,学習前後のHMMのガウス分布の平均ベクトルの差分(移動ベクトル)が構成する一つの場(移動ベクトル場)の連続性の拘束条件に基づく移動ベクトルの補間と平滑化により,不十分な学習資料しか得られない場合に生じる(1)未学習モデルの問題と,(2)モデルの推定誤差の問題,に対処するものである.本論文では評価話者に男女各1名を用いた23音素認識実験により,平滑化はモデルの推定誤差を吸収するために有効な手法であることを示した.また,文節音声認識において,本手法の発話様式適応への応用と不特定話者モデルに基づく話者適応への応用を検討し,本手法の有効性を示した.