- 著者
-
安田 将
杉本 元一
後藤田 直人
- 出版者
- 一般社団法人 日本外科感染症学会
- 雑誌
- 日本外科感染症学会雑誌 (ISSN:13495755)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, no.2, pp.314-321, 2021-12-15 (Released:2022-01-07)
- 参考文献数
- 33
【目的】大量肝切除術前のリハビリ栄養療法(リハ栄養)による骨格筋指数(Skeletal muscle index,SMI)変化および術後経過への影響を検討した。【方法】2008年9月から2019年5月までに門脈塞栓術後に大量肝切除を施行された全99症例のうち,術前待機期間中にリハ栄養を行った症例群(リハ栄養群)と対照群で臨床的特徴およびSMI変化率を比較した。また,リハ栄養群においてSMI増加群と減少群の術後合併症発生率を比較した。SMIは門脈塞栓術前後の腹部CT画像で評価した。【結果】リハ栄養群30例では対照群69例と比較し,SMIの有意な増加を認めた(中央値+1.8% vs. +0.1%,P=0.038)。リハ栄養群30例において,SMI増加群21例では減少群9例と比較し,術後に手術部位感染(臓器体腔)(14% vs. 56%,P=0.032)と肝不全(14% vs. 56%,P=0.032)の発生率が低く,術後在院日数(17日 vs. 24日,P=0.033)が短かった。【結論】術前待機期間中のリハ栄養により骨格筋量が増加し,術前の骨格筋量増加は術後合併症軽減に有用であると考えられた。