- 著者
-
古田 弥生
木下 奈穂
杉本 博是
荒木 浩
- 出版者
- 日本緩和医療学会
- 雑誌
- Palliative Care Research (ISSN:18805302)
- 巻号頁・発行日
- vol.13, no.4, pp.367-371, 2018 (Released:2018-12-28)
- 参考文献数
- 19
乳がんの皮膚浸潤は出血や臭気を伴う滲出液のため,患者のQuality of Lifeを低下させる.局所処置療法としてMohsペーストや亜鉛華デンプン外用療法がある.Mohsペーストは正常組織の変性壊死による疼痛の有害作用があること,亜鉛華デンプン外用療法は止血・止臭効果が不十分という問題点がある.その問題点を改善した,紫雲膏・亜鉛華デンプン・メトロニダゾール(MNZ)療法の皮膚浸潤を伴う乳がん患者に対する,出血,臭気の緩和効果について報告する.症例は86歳女性.乳がんの皮膚浸潤に対して紫雲膏・亜鉛華デンプン・MNZ療法を行い,出血,感染兆候,臭気,滲出液,壊死組織が処置により客観的に改善し,ガーゼ交換の頻度は日に1回,処置は簡便であることが確認できた.紫雲膏・亜鉛華デンプン・MNZ療法は皮膚浸潤を伴う乳がん患者に対する,出血,臭気の緩和効果に有用で,従来の方法に加えて局所処置療法の一つになりうる可能性がある.