著者
大塚 英志 小松 和彦 安井 眞奈美 エルナンデス アルバロ 荒木 浩 劉 建輝
出版者
国際日本文化研究センター・プロジェクト推進室
雑誌
日文研大衆文化研究叢書 全5巻序論集
巻号頁・発行日
2022-03-17

国際日本文化研究センターによる大衆文化研究プロジェクト(人間文化研究機構機関拠点型基幹研究プロジェクト「大衆文化の通時的・国際的研究による新しい日本像の創出」)の成果として刊行された「日文研大衆文化研究叢書」シリーズ全5巻 [『日本大衆文化史』(KADOKAWA, 2020年9月)、『禍いの大衆文化 : 天災・疫病・怪異』(KADOKAWA, 2021年7月)、『身体の大衆文化 : 描く・着る・歌う』(KADOKAWA, 2021年11月)、『〈キャラクター〉の大衆文化 : 伝承・芸能・世界』(KADOKAWA, 2021年11月)、『戦時下の大衆文化 : 統制・拡張・東アジア』(KADOKAWA, 2022年2月)] の序論を集めたもの
著者
池添 冬芽 小林 拓也 中村 雅俊 西下 智 荒木 浩二郎 市橋 則明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】近年,低強度の筋力トレーニングであっても疲労困憊までの最大反復回数で行うと,高強度と同程度の筋力増強・筋肥大効果が得られることが報告されている。しかし,疲労困憊までさせずに最大下の反復回数で低強度トレーニングを実施した場合,高強度と同等の筋力増強・筋肥大効果が得られるかどうか,また筋の質的要因に対しても改善効果が得られるかどうかについては明らかではない。本研究の目的は,健常若年男性を対象に低強度・高反復および高強度・低反復の膝関節伸展筋力トレーニングを8週間実施し,1)低強度・高反復トレーニングは高強度と同程度の筋力増強や筋肥大・筋の質改善効果が得られるのか,2)各項目の経時変化に両トレーニングで違いはみられるのかについて明らかにすることである。【方法】対象は下肢に神経学的・整形外科的疾患の既往のない健常若年男性15名とした。対象者を無作為に低強度・高反復トレーニング群(低強度群)と高強度・低反復トレーニング群(高強度群)に分類した。膝関節伸展筋力トレーニングは筋機能運動評価装置(BIODEX社製System4)を用いて,低強度群では30%1RM,高強度群では80%1RMの強度で週3回,8週間実施した。8回の反復運動を1セットとし,低強度群では12セット,高強度群では3セット実施した。介入前および介入2週ごとに1RM・最大等尺性筋力,超音波測定を行った。1RM・最大等尺性筋力測定には筋機能運動評価装置を用い,膝伸展1RMおよび膝関節70°屈曲位での最大等尺性膝伸展筋力を測定した。超音波診断装置(GEメディカルシステム社製LOGIQ e)を用いて,大腿直筋の筋量の指標として筋厚,筋の質の指標として筋輝度を測定した。なお,筋輝度の増加は筋内の脂肪や結合組織といった非収縮組織の増加を反映している。トレーニングの介入効果を検討するために,各項目について分割プロット分散分析(群×時期)を行い,事後検定にはBonferroni法による多重比較を行った。【結果】分割プロット分散分析の結果,1RM・最大等尺性筋力,筋厚および筋輝度のいずれも時期にのみ主効果がみられ,交互作用はみられなかったことから,いずれの項目も2群間で効果の違いはないことが示された。事後検定の結果,両群ともに1RMおよび最大等尺性筋力はPREと比較して2週目以降で有意な増加がみられた。また両群ともに筋厚はPREと比較して4週目以降で有意に増加し,筋輝度は8週目のみ有意に減少した。【結論】本研究の結果,両トレーニング群ともに筋力増強,筋肥大,筋の質の改善がみられ,その変化の程度や経時変化に違いはみられなかったことから,低強度であっても12セットと反復回数を増やすことによって,高強度3セットのトレーニングと同様の筋力,筋量,筋の質の改善効果が得られることが明らかとなった。
著者
荒木 浩
出版者
文学通信
雑誌
古典の未来学 : Projecting Classicism

序論 〈投企する古典性 : Projecting Classicism〉から「古典の未来学」へ / 荒木 浩一、研究の現在と消えゆく未来 : コロナ禍と『なぐさみ草』二、『なぐさみ草』の投企性から〈未来学〉へ三、〈投企=Projecting〉する古典性とは四、本論集の企画と構想 五、「古典の未来学」へⅠ 投企する古典性第1部 古典を見せる/古典を活きる1-1 古典を見せる : 展示という方法第1章 女子大で古典を展示するということ : 実践報告とそれに基づく若干の考察 / 中前正志一、はじめに二、古典籍展示履歴三、見られてなんぼの展示四、わたし、ふじのちゃん。五、京女に久米の仙人が落ちてきた!?六、あることないこと二人の会話をでっち上げる七、おわりに第2章 美術で楽しむ古典文学 : 「徒然草」展の事例報告 / 上野友愛一、はじめに二、企画の経緯三、海北友雪筆「徒然草絵巻」の展示四、現代語訳の作成五、来館者からの声六、おわりにColumn 1 文化をつなげる場としての展覧会 : ロンドン大学SOAS大英博物館の国際共同研究プロジェクトを事例として / 石上阿希一、はじめに二、国際共同プロジェクト三、国際春画研究プロジェクトの場合四、大英博物館春画展のその後1-2 古典を活きる : 韻文の創作とその展開第3章 即興と記憶 : 中世和歌連歌における「擬作」「本歌」「寄合」をめぐって / 土田耕督一、序二、「擬作」と本歌取 : 和歌における即興性:〈予見/準備〉としての記憶三、本歌取と「寄合」 : 連歌における即興性 ①:詞の〈自動補完〉プログラム四、「当座の感」と「心付」 : 連歌における即興性 ②:〈表現〉という反応五、結 〈随意〉創作の位置第4章 琉球における和歌の受容と展開 / 屋良健一郎一、はじめに二、琉球人の和歌習得三、近世琉球人の作品四、和歌と琉歌五、琉球人と和歌六、おわりに第5章 世紀転換期日本および西洋における俳句の詩的可能性の拡大 : 出版、翻訳、再評価 / 前島志保一、「俳句」理解への取り組みの世界同時性二、従来の俳句鑑賞の継承三、新しい俳句鑑賞傾向・1デノテーションの復権四、新しい俳句鑑賞傾向・2作者の感情表出として五、新しい俳句鑑賞傾向・3コノテーションへの注目六、拡大される俳句の詩的可能性第6章 教科書から実践的な俳句学まで / グエン・ヴー・クイン・ニュー一、はじめに二、古に学ぶから今を生きるまで三、豊かな言葉文化論の地位づけ四、新しく面白い俳句学五、まとめColumn 2 時をかける和歌 : おみくじと占い / 平野多恵一、はじまりは、短大の授業二、室町時代の和歌占い : 阪本龍門文庫蔵『歌占』の実践三、江戸時代の和歌占い : 『晴明歌占』の実践と展開四、「天祖神社歌占」 : 神社と大学の合同プロジェクト五、おわりに : 和歌を生きる第2部 投企する古典性/古典との往還第7章 身を投げる/子を投げる : 孝と捨身の投企性をめぐって / 荒木 浩一、捨身の投企性 : 清水の舞台を発端に二、薩埵王子「捨身飼虎」と雪山童子「施身聞偈」の類比とずれ三、『三宝絵』上巻の本生譚が描く生と死四、孝と捨身と死の描写五、「孝」思想と死なない子六、身を投げる?子を投げる? : 仏陀の妻と一子七、『金光明最勝王経』の虎と義母第8章 透明な声、隔たりの消失 : 古典世界において〈一つ〉の世界はいかに想像されたか / 山藤夏郎一、序二、一つの声の分裂という歴史像三、文字以前の理想化 : 「太古」表象のパターン四、文字の原理 : 「分ける」ということ五、「太古」の世界では動物とも意思の疎通が可能だった?第9章 古代からの道行き : 『行人』 / 野網摩利子一、はじめに二、古代の悲恋をふまえて三、約束の再設定と違反四、嵌められた物語への抵抗五、古代歌謡による小説の加速第10章 『豊饒の海』縁起絵 : 『浜松中納言物語』、夢と転生、そして唯識思想 / 河東 仁一、はじめに二、『春の雪』三、『奔馬』四、『暁の寺』五、『天人五衰』六、縁起論七、おわりに第11章 北京人文科学研究所の蔵書から考える「投企する古典性」 / 河野貴美子一、はじめに二、『北京人文科学研究所蔵書目録』及び『続目』にみる古典籍の蒐集と研究三、『北京人文科学研究所蔵書目録 再続』にみる典籍の蒐集四、おわりにColumn 3 出版社の立ち上げと、これから / 岡田圭介一、二〇一七〜一八年二、二〇一九年三、二〇二〇年四、学術メディアとして【付】貸借対照表及び損益計算書第3部 古典を問う/古典を学ぶ第12章 「投企」のカタチ : 教室の「古典」 / 竹村信治一、はじめに二、「古典は本当に必要なのか」三、古典?四、「投企」のカタチ : その前に五、おわりに第13章 未来に活かす古典 : 「古典は本当に必要なのか」論争の総括と展望 / 飯倉洋一一、はじめに二、古典不要派の主張三、古典不要派の主張1 優先度四、古典不要派の主張2 芸術科目五、古典不要派の主張3 現代語訳六、古典不要派の主張4 ポリティカルコレクトネス七、国語力の一部としての古文・漢文八、古典知の可能性九、資本としての古典一〇、おわりに : 遺産としての古典 第14章 古典を必修にするために / 渡部泰明一、問題のありか二、基礎科目としての古典三、リテラシーを育成する科目としての古典第15章 くずし字を知ること : 日本古典文学の基礎学を考える / 渡辺麻里子一、はじめに二、弘前におけるくずし字普及活動三、くずし字の伝え方四、古典文学の基礎学五、おわりに : 現代人にとっての古典Column 4 古典との出会い方 / 中野貴文一、―月が綺麗ですね―二、―今、あなたと同じ月を見ている―三、―さらば愛しき古典よ―四、―古典文学を自由化する―Column 5 宣伝される大衆僉議 : 中世一揆論の再構築 / 呉座勇一一、はじめに二、強訴とは何か三、強訴の呪術性四、大衆僉議は神秘的か五、豪雲説話を読みなおす六、大衆僉議の宣伝性七、おわりに第4部 古典を観る/古典を描く第16章 筍と土蜘蛛 : 古典がジャンルを越えるとき / 山本陽子一、はじめに二、豊国祭礼図屛風のタケノコ三、孟宗はどこか四、さまざまな孟宗五、異色だらけの「土蜘蛛草紙絵巻」六、東博本の化物たち七、東博本の詞書八、東博本が典拠としたもの九、東博本の典拠の制約一〇、人形芝居ならば一一、人形芝居と東博本一二、ジャンルを越えて広がるとき第17章 頼光の杖 : 混沌にして豊穣な絵巻模写の世界へ / 楊 暁捷一、鬼が岩屋への道二、模写ということ三、諸本を探る四、模り写すことの限界五、多様な展開六、変化が物語るもの七、模写を読み解く第18章 語り物文芸の視覚化 : 説教源氏節の性格と意義 / 深谷 大一、はじめに二、説教源氏節の名称三、説教源氏節の創設者四、新内節・説経節・説経祭文五、説経節の大衆化六、草創期の説教源氏節七、草創期の人形遣いと人形戯八、明治初頭の岡本諸座九、明治一五年頃の岡本諸座一〇、説教源氏節芝居一一、一座の構成と入場料 一二、説教源氏節(芝居)の伝播一三、説教源氏節の音曲としての性格一四、娘義太夫への対抗意識一五、明治三四、三五年頃の岡本諸座一六、結び第19章 故事を遊ぶ : 「戯画図巻」という文芸 / 齋藤真麻理一、「戯画図巻」の登場二、室町物語と「戯画図巻」 : 『富士の人穴の草子』三、当代性の反映 : 「戯画図巻」観音の射的四、明代版本の受容 : 張果老のすがた五、むすびに代えて第20章 風景を捉える川合玉堂の眼差し : 大衆性と同時代性と / 三戸信惠一、 川合玉堂と「大衆性」二、 明治二八年の「鵜飼」 : 山水画の構図、名所絵版画の視点三、 明治三九年の「渓山秋趣」 : 『日本名山図会』の眼差しを求めて四、 大正三年の「駒ヶ岳」 : 『日本風景論』が提示した新たな眼差しの枠組み五、 昭和期の動向 : 写真との関わり第21章 洋画家・岸田劉生の初期の制作にみる古典性の投企 : 美術の複製メディアを手がかりに / 前川志織一、はじめに二、明治後半期から大正初期にかけての複製による美術の受容三、劉生の初期の制作と複製としての美術四、おわりに第22章 柳田國男『遠野物語』の「戦争物語」への変奏 : 村野鐵太郎監督の映画「遠野物語」を中心に / 金 容儀一、はじめに二、特化される「オシラサマ」伝承三、映画「遠野物語」の民俗世界四、娘と馬の幻想的な「悲恋物語」五、「遠野物語」から「戦争物語」への増幅と変奏六、おわりに第5部 古典を展(ひら)く/古典を翻す第23章 「日本文学史」の今後一〇〇年 : 『日本「文」学史』から見通す / ヴィーブケ・デーネーケ×河野貴美子一、「国文学」のパラダイムを問い直す二、『日本「文」学史』の構想と構造三、『日本「文」学史』第三冊「文」から「文学」へ : 東アジアの文学を見直す The Path from "Letters" to "Literature" :A Comparative History of East Asian Literatures の挑戦四、『日本「文」学史』からの展望五、二一世紀の人文知とは─世界の古典学から考える The Humanities in the 21st Century: Classical Studies in and for the WorldColumn 6 投げ出された言葉を繋ぎ止めるために : 翻訳の準備的作業としての「概念史」 / 河野至恩一、「投企」と翻訳二、「投げ出された言葉」の翻訳論三、翻訳の方法と「概念史」四、翻訳の準備的作業としての概念史 : 二つのモデル第24章 投企された「英訳方丈記」 : 夏目漱石の「作家論」から「天才論」へ / ゴウランガ・チャラン・プラダン一、はじめに二、「投企」という概念について三、「英訳方丈記」にみる漱石の作家論四、「英訳方丈記」の作家論の形成について五、投企された「英訳方丈記」の作家論六、終わりに向けて第25章 古典の翻訳 : 大衆性と視覚性を問う / 李 愛淑一、はじめに二、大衆性を問う三、視覚性を問う四、世界文学としてColumn 7 投企する文学遺産 : 有形と無形を再考して / エドアルド・ジェルリーニ一、古典性という「価値」二、文化遺産から文学遺産へ三、有形と無形の相互投企四、現代を相対化する文学遺産第6部 古典と神話/古典と宗教第26章 古事記の〈天皇像〉 : 「詔」の分析をとおして / アンダソヴァ・マラル一、はじめに二、オホクメと神武の求婚三、天皇と出雲の神々四、気比大神五、景行天皇とヤマトタケル六、目弱王と忍歯王七、結論 : 「詔」からみる古事記の天皇像第27章 一三世紀の失敗した宗教議論 : 『広疑瑞決集』の政治議論を中心に / ダニエル・シュライ一、『広疑瑞決集』 の議論はなぜ失敗したのか二、議論の失敗の原因は何か三、宗教的な議論四、政治論の背景五、政治の議論六、引用文の確認七、解決失敗の理由についての一考Ⅱ 特論 : プロジェクティング・プロジェクト第1部 「投企する太平記 : 歴史・物語・思想」から第1章 点描 西源院本『太平記』の歴史 : 古写本から文庫本まで / 和田琢磨一、はじめに二、元禄二年 : 『参考太平記』の作成三、大正八年三月 : 〈影写本〉の作成四、昭和一〇年五月二五日 : 刀江書院本刊行の背景五、平成二六年 : 岩波文庫本刊行開始六、おわりに第2章 「太平記史観」をとらえる / 谷口雄太一、はじめに二、「太平記史観」を定義する三、それが「太平記史観」だと気付くまで四、「太平記史観」批判の現在五、「太平記史観」超克の未来六、おわりに第3章 『太平記』に見る中国故事の引用 / 亀田俊和一、はじめに二、中国故事引用の頻度・分布三、大規模引用の意図四、観応の擾乱期における大規模引用の検討五、『太平記』の編纂過程と中国故事引用六、おわりに第4章 『太平記』の近世的派生/転生 : 後醍醐・楠像を軸に / 井上泰至一、はじめに : 足利将軍木像の梟首二、歴史読み物としての『太平記』の派生書 : その様式の変遷から三、後醍醐天皇像 : 失政者はいつ理想の天皇となったのか四、楠像の変遷 : 諫臣から忠臣へ五、史学とは「史料」を使った投企的読みではないのか?第5章 以津真天の変容 : 〈創作的解説〉の時代を中心に / 伊藤慎吾一、『太平記』中の妖怪記事二、前近代の以津真天三、現代の以津真天四、創作的解説五、いつまでんの誕生六、〈世界〉から乖離したキャラクター七、不必要な情報共有八、おわりに第2部 「日本漢文学プロジェクト」から第6章 「和漢」型の漢詩詞華集の流行と近代日本における古典の教養 : 結城蓄堂『和漢名詩鈔』と簡野道明『和漢名詩類選評釈』 / 合山林太郎一、はじめに二、「和漢」型漢詩詞華集の性質三、中国・日本の詩をともに載せることの意義と背景四、注解・訓読の付与と独自の書型五、前代の漢詩文化とのつながり六、勧学の詩の重視とその背景七、辺塞詩の収載と日露戦争の記憶八、おわりに第7章 元号「令和」 : 時間の表象と政治の隠喩 / 葛 継勇一、はじめに二、「梅花の歌」序の出典三、元号の選定と出典四、『万葉集』の性格五、元号にみられる隠喩的な時間六、おわりにⅢ Projecting Classicism in Various LanguagesChapter 1"Distance Reading, Migration of the meaning and Metempsychosis through Translation: Is "World Literature or Global Art" Possible? : Comparative Literature and Art in the Context of the Globalization" / 稲賀繁美Chapter 2"Projecting Classicism in Classical Kabuki Theatre : A Gender Perspective" / ガリア・ペトコヴァあとがき / 荒木浩共同研究会開催一覧執筆者一覧キーワード索引
著者
古田 弥生 木下 奈穂 杉本 博是 荒木 浩
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.367-371, 2018 (Released:2018-12-28)
参考文献数
19

乳がんの皮膚浸潤は出血や臭気を伴う滲出液のため,患者のQuality of Lifeを低下させる.局所処置療法としてMohsペーストや亜鉛華デンプン外用療法がある.Mohsペーストは正常組織の変性壊死による疼痛の有害作用があること,亜鉛華デンプン外用療法は止血・止臭効果が不十分という問題点がある.その問題点を改善した,紫雲膏・亜鉛華デンプン・メトロニダゾール(MNZ)療法の皮膚浸潤を伴う乳がん患者に対する,出血,臭気の緩和効果について報告する.症例は86歳女性.乳がんの皮膚浸潤に対して紫雲膏・亜鉛華デンプン・MNZ療法を行い,出血,感染兆候,臭気,滲出液,壊死組織が処置により客観的に改善し,ガーゼ交換の頻度は日に1回,処置は簡便であることが確認できた.紫雲膏・亜鉛華デンプン・MNZ療法は皮膚浸潤を伴う乳がん患者に対する,出血,臭気の緩和効果に有用で,従来の方法に加えて局所処置療法の一つになりうる可能性がある.
著者
池添 冬芽 小林 拓也 中村 雅俊 西下 智 荒木 浩二郎 市橋 則明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0376, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】近年,低強度の筋力トレーニングであっても疲労困憊までの最大反復回数で行うと,高強度と同程度の筋力増強・筋肥大効果が得られることが報告されている。しかし,疲労困憊までさせずに最大下の反復回数で低強度トレーニングを実施した場合,高強度と同等の筋力増強・筋肥大効果が得られるかどうか,また筋の質的要因に対しても改善効果が得られるかどうかについては明らかではない。本研究の目的は,健常若年男性を対象に低強度・高反復および高強度・低反復の膝関節伸展筋力トレーニングを8週間実施し,1)低強度・高反復トレーニングは高強度と同程度の筋力増強や筋肥大・筋の質改善効果が得られるのか,2)各項目の経時変化に両トレーニングで違いはみられるのかについて明らかにすることである。【方法】対象は下肢に神経学的・整形外科的疾患の既往のない健常若年男性15名とした。対象者を無作為に低強度・高反復トレーニング群(低強度群)と高強度・低反復トレーニング群(高強度群)に分類した。膝関節伸展筋力トレーニングは筋機能運動評価装置(BIODEX社製System4)を用いて,低強度群では30%1RM,高強度群では80%1RMの強度で週3回,8週間実施した。8回の反復運動を1セットとし,低強度群では12セット,高強度群では3セット実施した。介入前および介入2週ごとに1RM・最大等尺性筋力,超音波測定を行った。1RM・最大等尺性筋力測定には筋機能運動評価装置を用い,膝伸展1RMおよび膝関節70°屈曲位での最大等尺性膝伸展筋力を測定した。超音波診断装置(GEメディカルシステム社製LOGIQ e)を用いて,大腿直筋の筋量の指標として筋厚,筋の質の指標として筋輝度を測定した。なお,筋輝度の増加は筋内の脂肪や結合組織といった非収縮組織の増加を反映している。トレーニングの介入効果を検討するために,各項目について分割プロット分散分析(群×時期)を行い,事後検定にはBonferroni法による多重比較を行った。【結果】分割プロット分散分析の結果,1RM・最大等尺性筋力,筋厚および筋輝度のいずれも時期にのみ主効果がみられ,交互作用はみられなかったことから,いずれの項目も2群間で効果の違いはないことが示された。事後検定の結果,両群ともに1RMおよび最大等尺性筋力はPREと比較して2週目以降で有意な増加がみられた。また両群ともに筋厚はPREと比較して4週目以降で有意に増加し,筋輝度は8週目のみ有意に減少した。【結論】本研究の結果,両トレーニング群ともに筋力増強,筋肥大,筋の質の改善がみられ,その変化の程度や経時変化に違いはみられなかったことから,低強度であっても12セットと反復回数を増やすことによって,高強度3セットのトレーニングと同様の筋力,筋量,筋の質の改善効果が得られることが明らかとなった。
著者
荒木 浩
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.993, pp.70-73, 1999-05-31

問 6月の株主総会で荒木さんが会長に就き、南直哉副社長が新社長になる人事を内定しました。東京電力は先ごろ中期経営計画を発表したばかりだし、来年はいよいよ電力小売りの自由化が始まる。当然、荒木さんはあと2年社長を続け、こうした動きを見届けるつもりだろうと思っていました。最初から3期6年の腹積もりだったのですか。
著者
荒木 浩太朗 中尾 彰文 山本 祐吾 吉田 登 中久保 豊彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.II_245-II_256, 2017 (Released:2018-04-01)
参考文献数
39
被引用文献数
2

本研究では,将来産業動向を見据えたうえで,全国規模での下水処理施設と産業工場,ごみ焼却場との連携によるGHG削減効果およびその要因について分析した.まず,下水処理施設における未利用汚泥量,産業工場における下水汚泥燃料の受入可能な容量,およびごみ焼却場での下水汚泥由来エネルギーの受入可能量を把握する.次に下水汚泥燃料化技術ごとにGHG収支を把握し,下水汚泥燃料を産業工場やごみ焼却場への配分ルールを設定し,GHG削減効果を分析した.その結果,2020~2030年において未利用汚泥の87.3%がエネルギー活用可能であり,最大GHG削減効果は3,320 [千t-CO2]と推計された.製紙工場の供給達成率は約73%であった.また,産業工場の将来動向の変化や製紙工場での汚泥燃料混焼率の変化に伴う,各業種のGHG削減効果への影響を明らかにした.
著者
西下 智 簗瀬 康 田中 浩基 草野 拳 中尾 彩佳 市橋 則明 長谷川 聡 中村 雅俊 梅垣 雄心 小林 拓也 山内 大士 梅原 潤 荒木 浩二郎 藤田 康介
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【目的】肩関節は自由度が高く運動範囲が広いが,関節面が小さいため回旋筋腱板(腱板)の担う役割は重要である。肩関節周囲炎,投球障害肩などに発生する腱板機能不全では棘上筋,棘下筋の柔軟性低下が問題となることが多く,日常生活に影響を及ぼすこともある。柔軟性向上にはストレッチング(ストレッチ)が効果的だが,特定の筋の効果的なストレッチについての研究は少ない。棘下筋に関してはストレッチの即時効果を検証する介入研究が行われているが,棘上筋ではほとんど見当たらない。棘上筋の効果的なストレッチは,複数の書籍では解剖学や運動学の知見をもとに,胸郭背面での内転(水平外転)位や伸展位での内旋位などが推奨されているが定量的な検証がなされていないため,統一した見解は得られていないのが現状である。棘上筋のストレッチ肢位を定量的に検証したのはMurakiらのみであるが,これは新鮮遺体を用いた研究であり,臨床応用を考えると生体での検証が必要である。これまで生体における特定の筋のストレッチ方法を確立できなかった理由の一つに,特定の筋の伸張の程度を定量的に評価する方法が無かったことが挙げられる。近年開発された超音波診断装置のせん断波エラストグラフィー機能を用いることで,計測した筋の伸張の程度の指標となる弾性率を求める事が可能になった。我々はこれまでに様々な肢位での最大内旋位の弾性率を比較する事により「より大きな伸展角度での水平外転・内旋もしくは,最大伸展位での内旋」が棘上筋の効果的なストレッチ方法であると報告(第49回日本理学療法学術大会)したが,最大内旋を加える必要性については未検証であった。そこで今回我々は,効果的な棘上筋のストレッチ方法に最大内旋が必要かどうかを明らかにすることを目的とした。【方法】対象者は健常成人男性20名(平均年齢23.8±3.1歳)とし,対象筋は非利き手側の棘上筋とした。棘上筋の弾性率の計測は超音波診断装置(SuperSonic Imagine社製)のせん断波エラストグラフィー機能を用い,棘上筋の筋腹に設定した関心領域の弾性率を求めた。計測誤差を最小化できるように,計測箇所を肩甲棘中央の位置で統一し,2回の計測の平均値を算出した。弾性率は伸張の程度を表す指標で,弾性率の変化が高値を示すほど筋が伸張されていることを意味する。計測肢位は,上腕の方向条件5種と回旋条件2種を組み合わせた計10肢位とした。方向条件は下垂位(Rest),胸郭背面での最大水平外転位(20Hab),45°挙上での最大水平外転位(45Hab),最大水平外転位(90Hab),最大伸展位(Ext)の5条件,回旋条件は中間位(N)と最大内旋位(IR)の2条件とした。統計学的検定は各肢位の棘上筋の弾性率について,方向条件と回旋条件を二要因とする反復測定二元配置分散分析を行った。なお統計学的有意水準は5%とした。【結果】全10肢位のそれぞれの弾性率(平均±標準偏差,単位:kPa)はRestNが8.9±3.1,RestIRが7.3±2.5,20HabNが11.9±5.3,20HabIRが10.9±4.3,45HabNが27.1±11.0,45HabIRが28.0±13.8,90HabNが22.6±7.8,90HabIRが27.3±10.8,ExtNが31.0±7.2,ExtIRが31.8±8.4であった。統計学的には方向条件にのみ主効果を認め,回旋条件の主効果,交互作用は認めず,中間位と最大内旋位に有意な違いがなかった。方向条件のみの事後検定ではRestに対して20Hab,45Hab,90Hab,Extの弾性率が有意に高値を示し,更に20Habに対して45Hab,90Hab,Extの弾性率が有意に高値を示した。【考察】棘上筋のストレッチ方法はこれまでの報告同様,Restに比べ20Hab,45Hab,90Hab,Extが有意に高値を示した事,また,20Habに比べ45Hab,90Hab,Extが有意に高値を示した事から,伸展角度が大きい条件ほどより効果的なストレッチ方法であることが再確認できた。しかし,回旋条件の主効果も交互作用も認めなかったことから最大内旋を加えることでの相乗効果は期待できない事が明らかとなった。この結果は新鮮遺体での先行研究が推奨する最大伸展位での水平外転位を支持するものであった。このことから書籍などで推奨されていた胸郭背面での水平外転位のストレッチについては水平外転や内旋よりも伸展を強調すべきであることが明らかとなった。【理学療法学研究としての意義】本研究では弾性率という指標を用いる事で,生体の肩関節において効果的な棘上筋のストレッチ方法が検証できた。その肢位はより大きな伸展角度での水平外転もしくは最大伸展位であったが,最大内旋を加えることによる相乗効果は期待できないことが明らかとなった。
著者
荒木 浩二郎 池添 冬芽 田中 浩基 簗瀬 康 森下 勝行 中尾 彩佳 磯野 凌 神谷 碧 市橋 則明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1306, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】筋力トレーニング直後に生じる筋厚の増加(筋腫張)は血流増加,血管透過性亢進による組織間液増加に起因し,筋肥大に必要な低酸素状態や代謝物蓄積の程度を反映すると考えられている。我々は高齢者を対象に最大等尺性筋力の10%の負荷での膝関節伸展運動を10回1セットとして5セット実施した結果,1~2セット後には筋腫脹がみられず,3セット以降から筋腫脹が生じることを報告した(第2回基礎理学療法学会,2015)。筋腫張は筋肥大を引き起こす重要な要素とされているが,筋腫脹が生じる最低限の運動量でトレーニング介入をした場合に筋肥大効果が得られるかは明らかではない。そこで本研究では高齢者を対象に,最大等尺性筋力の10%の負荷で筋腫張が生じる最低限の運動量を用いて12週間の低強度筋力トレーニング介入を実施し,介入効果が得られるか検討した。【方法】対象は健常高齢者26名(男性3名,女性23名,年齢75.0±4.2歳)とし,介入群13人,対照群13人にランダムに割り付けた。介入群のみ週3回(1回監視下運動,2回自主練習),12週間の低強度膝伸展筋力トレーニングを実施した。運動負荷として,椅子坐位,膝関節90°屈曲位で測定した最大等尺性筋力の10%の重錘を用いた。膝関節屈曲90°から0°の範囲での膝関節伸展運動(求心相3秒,保持3秒,遠心相3秒)を10回1セットとし,3セット行なった。セット間の休息は1分とした。介入前後に筋力,筋厚を測定した。筋力の測定には筋力計(OG技研製マスキュレーターGT30)を用いて椅子坐位,膝関節30,60,90°屈曲位で最大等尺性膝関節伸展筋力を測定した。筋厚の測定には超音波診断装置(フクダ電子社製)を用いて,背臥位,膝伸展位で大腿直筋(RF),中間広筋(VI),外側広筋(VL),内側広筋(VM)の筋厚を測定した。測定部位はRF,VIが上前腸骨棘(ASIS)~膝蓋骨上縁の50%,VLが大転子~大腿骨外側上顆の50%,VMがASIS~膝蓋骨上縁の80%の高さの5cm内側とした。超音波画像は各筋2枚撮影し,平均値を解析に用いた。統計解析は群と時期を2要因とした分割プロットデザインによる分散分析を行なった。なお,有意水準は5%とした。【結果】12週介入後の測定が可能だった介入群12名(男性2名,女性10名,年齢75.9±4.0歳),対照群10名(男性1名,女性9名,年齢73.7±3.3歳)を解析対象とした。低強度筋力トレーニングにおいて用いた重錘の重さは2.2±0.7kgであった。分散分析の結果,すべての膝関節角度の膝関節伸展筋力において交互作用を認めなかった。また大腿四頭筋各筋の筋厚も交互作用を認めなかった。【結論】本研究では先行研究によって明らかとなった最大等尺性筋力の10%の負荷で筋腫脹を生じさせる運動量(セット数)を用いて12週間の低強度筋力トレーニング介入を行っても筋力増強,筋肥大効果は得られないことが示唆された。低強度筋力トレーニングでも効果を得るためには運動量を増やす必要があると考えられる。