著者
小川 祐生 山木 誠也 八村 寿恵 鐘ヶ江 晋也 杉本 大輝 網本 宏和 岡本 芳晴 網本 昭輝
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.74, no.12, pp.810-817, 2021-12-20 (Released:2022-01-20)
参考文献数
9

ミニチュアダックスフント(以下MD)は上顎犬歯部の歯周病による口腔鼻腔瘻の好発犬種であるが,その進行パターンについては未だ不明である.今回,歯科処置時に上顎犬歯口蓋側の歯周ポケットが4mm以上ある症例,及び口腔鼻腔瘻が確認された症例を対象に回顧的研究を行い,MDと他犬種の歯科X線検査における上顎犬歯側面像の所見を比較した.その結果,歯周ポケット深度が同じ区分において,MDは他犬種よりも犬歯近位及び遠位の歯槽骨吸収像が少なく,吸収部位の吻尾方向への広がりが少ないと考えられた.また,MDは口蓋側方向の吸収程度を反映するホワイトラインの明瞭割合も高いことから,口蓋側方向への広がりも少ないと考えられた.以上より,MDの上顎犬歯部歯周病の進行は,水平吸収よりも口蓋側の垂直吸収が大きく進行する特徴を有すると考えられた.
著者
小川 祐生 山木 誠也 鐘ヶ江 晋也 杉本 大輝 八村 寿恵 網本 昭輝
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.71, no.12, pp.713-718, 2018-12-20 (Released:2019-01-20)
参考文献数
12

今回,われわれは犬の歯科X線検査における二等分面法の新たなX線入射角度決定法を考案した.この方法では,フィルム面の口腔外への延長線と撮影対象歯の歯軸で成す角を二等分する角度でX線を照射する.この新しい方法と従来から用いられてきた基本的な方法,及び近年提案された別の方法の3つの方法を用いて,頭蓋及び模擬フィルムで作成したモデルにおける入射角度決定の検証を実施した.作業開始から入射角度決定までの時間を簡易性,得られた入射角度による画像長変化率を正確性,及びそのばらつきを精度の指標とし,それぞれの初回実施時の傾向及び習熟の関与について比較検証を行った.われわれの考案した方法は角度決定時間が最も短く,得られた角度は他法と同等で,ばらつきも少なかった.このことから初心者にも理解のしやすく応用しやすい方法と考えられた.