- 著者
-
杉本 雄太郎
- 出版者
- 慶應義塾大学
- 雑誌
- 特別研究員奨励費
- 巻号頁・発行日
- 2007
本研究では,実世界のモデリングのためのオントロジー構築手法に,線形論理的手法を用いたプロセス記述言語を導入した.この記述言語は,従来の静的な関係を基にするOWLなどの記述言語によるオントロジー構築手法とは異なり,関係をプロセスレベルで記述する.そのため,静的な記述言語では直接的な記述が困難であるような資源の使用や消費,消滅などの概念を,より自然かつ適切に取り扱うことが可能にするものである.また,この線形論理的プロセス記述言語のための推論エンジンのリファレンス実装を行なった.これと並行して,人間の認知推論についても,言語・図形・信念一致・信念相反・信念中立の五種類のアリストテレス的三段論法課題からなるBAROCO論理推論課題集を用いた行動実験を行なった.この一連の行動実験により得られた実験データに対し,認知科学的および行動遺伝学的分析を行なった.また,この実験データを含む(40,000組の人口悉皆的住所リストをもとにした)3,000組を超す双生児サンプルの行動実験データに基づき,大規模双生児行動データベースの構築を行ない,その運用を開始した.なお,この双生児行動データベースはNIRSやfMRI,EEG等の多様な脳神経画像データなども格納できるように設計されており,今後の心理学,行動遺伝学,分子生物学および脳神経科学を同一の双生児サンプルによって統合した行動神経ゲノミクス研究の基盤となるものである.