- 著者
-
杉森 孝
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.63, pp.286, 2011
目的<BR>現在のファッション造形教育の指導においてその多くは、グラフィカルなデザインの内容に偏っているか、被服構成に偏ったものが殆どであり、人体や立体を中心にしたものを見つけることは困難である。ファッション造形教育を受けようとする学生の中には専門的な造形教育の経験が少ないか、全くないという学生も多い、また経験はあっても立体造形に対して苦手意識を持つ学生もいる。本研究はこのような学生であっても立体造形作品を無理なく制作できるための指導方法の確立を目的としている。<BR> 方法<BR>主に香蘭女子短期大学・ファッション総合学科での卒業制作(2009~2011)における造形指導について、20世紀初頭、パブロ・ピカソやジョルジュ・ブラックらによって創始された「キュビスム」の手法をファッション造形教育へと導入し授業を行った。また全く同じ内容と指導ステップによってデザイン系専門学校の学生にも授業を行い、課題作品の比較を行った。<BR> 結果<BR>この指導方法の導入によって平面造形から立体造形への移行を自然に行うことが可能となった。また専門的な造形教育の経験の有無に関係なく立体作品の制作が可能であった。また完成した立体作品から服への展開も素材やパターンについての指導方法を整備していくことで解決することが可能である。以上のことから本指導方法がファッションにおける造形指導の一つとして有効であると考えられる。