- 著者
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草島 健二
村田 嘉彦
大石 不二雄
下出 久雄
木村 文平
杉田 博宣
小山 明
中野 裕康
河端 美則
- 出版者
- The Japanese Respiratory Society
- 雑誌
- 日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
- 巻号頁・発行日
- vol.30, no.9, pp.1673-1681, 1992-09-25 (Released:2010-02-23)
- 参考文献数
- 19
原発性肺癌の手術例480例を対象として, 担癌肺での原因不明の慢性間質性肺炎 (UIP) の性状を検討した. UIPは30人 (6.3%) にみられ, 性別では男が26例で, 平均年齢は68歳であった. 肺癌の組織別では扁平上皮癌が17例と多く, 部位別では下葉は18例であった. 肺癌は全例末梢発生で, 間質性肺炎が存在する部位にみられ, 胸膜に近い部位から発生したと推測できる例が多かった. UIPの拡がりは胸膜下1cm 以下にとどまる限局性のものが27例と多くを占めた. UIPのタイプによりそれを, 壁在型, 気腫型 (線維化と構造破壊の混在), 気腔内滲出型に分けたところ, 壁在型8例, 気腫型22例であった. 壁在型はCT上胸膜下の濃度上昇のみを呈した場合があった. 気腫型の特徴は, 肺活量の減少がなく, CT上線維化部位に大小不揃いの嚢胞がみられる点であった. 肺癌の早期発見や術後の経過などの点で限局性UIP (特に気腫型) は重要な病変と考えた.