- 著者
-
杉谷 和哉
- 出版者
- 日本医療福祉政策学会
- 雑誌
- 医療福祉政策研究 (ISSN:24336858)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, no.1, pp.27-37, 2021 (Released:2021-06-15)
新型コロナ感染症のパンデミックに彩られた2020年は、政策研究にとっても大きな課題を突き付けた。新型コロナ感染症の問題の特徴を鑑みると、パンデミックがもたらした問題は、ステークホルダー間の対立が生じている、問題同士が関連している、対策にあたって必要とされる知識が不足している、不確実性が高い、といった特徴を備えていることが看取できる。これらの特徴を備えた問題は、政策研究で言うところの「ウィキッド・プロブレム」に該当すると考えられる。この着想を手掛かりに、本論文では、新型コロナ感染症のパンデミック及びそれによって生じる課題を、「ウィキッド・プロブレム」と捉え、先行研究を駆使して分析した。その結果、科学の在り方が変容しつつあることと、「不快さを引き受ける政治」が必要であるといったことが示唆された。