著者
李 佑眞
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究ではRC造建築物の外装塗料が様々な環境条件により劣化し、RC造建築物の中性化現象が起きることを考慮した有限要素の構成モデルを設定し、様々な環境条件に露出された建築物の外装塗料の劣化挙動を有限要素解析による予測を可能とすることを目的とし、実環境と近い実験環境でRC造建築物の外装塗料の劣化を促進させ、その劣化による中性化抑制効果の変化を実験的に検証した後、その結果を用いて外装塗料を施したRC造建築物の有限要素構成則を構築し、より正確な解析及び劣化挙動評価を行った。本研究での特徴は実環境を再現することで紫外線、凍結融解作用による劣化を受ける建築物の外装塗料に対して促進試験を定量的に行い、促進試験と実環境の関係を解明することが可能になったと考えられる。なお、これまでの研究は実環境での劣化を実験的に様々な促進試験を行い、また、実際複合的に起きている実環境での劣化を個別的劣化と考えている結果となっており、その結果を用いて持続可能なRC造建築物の耐久設計をすることができなかった。しかし、本研究の結果により様々な劣化に対し、RC造建築物の外装塗料の挙動を明らかになり、補修や補強の時期を正確に決めることが可能になると考えられる。また、RC造建築物のLCCも計画の段階から低減することができると判断される。