著者
李 光宰
出版者
多摩大学グローバルスタディーズ学部
雑誌
紀要 = Bulletin (ISSN:18838480)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.21-37, 2019-03-31

本稿では,サムスン半導体の形成過程ひいては躍進する姿を観察し,① 「新々貿易理論」が,かつての「比較優位論」では説明すらできなかった「後発開発途上国が工業製品を輸出しているのはなぜか?」を解き明かすのに最も適切な理論であることを明らかにした.すなわち,サムスンの登場・躍進への検証によって,「生産性の高い企業のみが,輸出に要する大きな固定費用をまかなうほどの利潤を得ることができる」といった「新々貿易理論」の正当性が証明できたのである.また,①サムスンは「皇帝経営」,② サムスンの「経営者の単独専行が特色である」などのサムスンに対する既存観・「偏見」または先入観を払拭することができた.