著者
李 夫平
出版者
山口大学大学院東アジア研究科
雑誌
東アジア研究 (ISSN:13479415)
巻号頁・発行日
no.15, pp.167-179, 2017-03

自然音の模倣として言語へ導入される擬声語には歴史的な変遷における語音、語形、語義の変化が生じると考えられる。中国語の擬声語の場合、語音、語形、語義の変化によって通用語や多義語となる現象が見られる。擬声語を共通語の標準に合わせるには擬声語の用字、発音と意味などの要素を考えなければならないため、それらの要素の歴史的な変化状況を調べる必要がある。本論では、「吧」を取り上げ、単音節擬声語の「吧」と「吧」を第一字とする多音節擬声語の歴史的な変化を考察した。結論として、「吧」のような単音節擬声語でも「吧」を含む多音節擬声語でも、通用語などの現象がよく見られる。従って、歴史的な言語の変化に伴って、擬声語の意味などの面で、時代により変化した傾向が見られる。また、変化の過程で通用語現象なども生じるため、擬声語の使用の規則性を見ることは難しい。