著者
李 炅泰
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.51-73, 2014

公式スポンサーとアンブッシャーによるスポンサーシップ、ならびにコーズ・リレーテッド・マーケティング(CRM)が消費者反応に及ぼす影響について、スポーツ・アイデンティフィケーション(SID)の視点から分析した。スノーボール・サンプリング方法でデータ(n=897)を集め有効回答(n=722)を分析したところ、支援企業が公式スポンサーかアンブッシャーかはスポンサーシップの効果に有意な影響を与えなかった。一方、スポンサーシップと CRM を並行して行うと、消費者反応が有意に好ましくなることがわかった。さらに、スポンサーシップと CRM の効果は、消費者の内面的要因である SID(消費者個々人が知覚するスポーツの重要性)に影響されていた。例えば、SID 水準の高い消費者ほど、スポンサーシップ、ならびにスポンサーシップと CRM の並行について好意的な反応を示した。しかし、CRM 遂行による消費者反応の好転は、高 SID消費者より低 SID 消費者の方で著しくみられた。論文の終盤では、分析結果を踏まえて理論的・実務的インプリケーションが提示される。