著者
李 雨桐 中野 拓治 中村 真也 山岡 賢 阿部 真己
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.I_61-I_71, 2019

<p>連続流入間欠ばっ気活性汚泥方式の農業集落排水施設のBOD除去性能確保に関して, ばっ気槽1室のばっ気終了時のORP管理範囲100~125mVを明らかにするとともに, ばっ気装置散気方式, ばっ気強度, ばっ気時間等によるDO挙動特性とBOD除去性能確保に必要なばっ気終了時のDO濃度を把握した.総括酸素移動容量係数(<i>K<sub>L</sub>a</i>)にはばっ気槽の活性汚泥粘度が関与しており, ばっ気強度, 水温, MLSSを説明変数とする重回帰式から推定できることが確認された.BOD除去速度恒数はばっ気強度, ばっ気時間, 及び槽内水温を説明変数とする重回帰式から推定できることが示唆された.ばっ気強度(0.03 m<sup>3</sup>∙m<sup>-3</sup>∙mim<sup>-1</sup>)とばっ気時間(30min)を組合わせたばっ気槽の運転操作を通じて, 少ないばっ気空気量で高いBOD除去性能を得るなど農業集落排水施設の運転管理効率化が図られることが示された.</p>
著者
李 雨桐 山岡 賢 阿部 真己 畑 恭子 中野 拓治
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.I_243-I_253, 2018

<p>本研究は, 農業集落排水施設から得られた実測データに基づき, 農業集落排水施設の流入汚水量の実態把握と変動要因の検討を通じて, 設計諸元の定量化と設定について考察した.日流入汚水量には, 土地利用・立地条件が関与しており, 処理区の土地利用・立地条件を水道水量と降水量に加味することで, これらを説明変数とする重回帰推定式から日流入汚水量を精度よく推定できることを明らかにできた.時間流入汚水量の日間変動には, 管路延長, 供用率, 流入人口率が関与しており, 時間水量日変動幅とピーク係数はこれらを説明変数とする重回帰推定式から設計基準値を設定できることが示唆された.</p>
著者
中野 拓治 李 雨桐 阿部 真己 畑 恭子
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集
巻号頁・発行日
vol.86, no.1, pp.I_9-I_17, 2018

農業集落排水施設流入水について農業集落排水施設から得られた実測データに基づき,状態空間モデルの適用を通じて日水量負荷変動の把握と変動特性の抽出を試み,日水量負荷の変動要因について考察した.日流入水量はトレンド成分,季節変動成分,週間変動成分,及び降水による変動成分に分離されるとともに,状態空間モデル解析により日流入水量の有する周期的な変動特性や観測データと対応した特徴を抽出できることが確認できた.日水量負荷変動には,供用人口に対応して変動する水道使用量,降水量,流入人口動態,お盆・年末・年始のイベントに対応する流量変動が関与していることが示唆された.状態空間モデルによる解析は,季節変動成分の解釈や降水に伴う変動成分予測精度に課題が残るものの,農業集落排水施設の日流入水量の変動特性の把握には活用できるものと考えられる.