著者
三輪 正人 中山ハウリー 亜紀 大久保 公裕 飯島 史朗 村上 亮介
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

ドライスキンと同じく、ドライノーズの病態がアレルギー性鼻炎の前駆段階である可能性を実証するため、スギ花粉抗原鼻誘発前後の鼻粘膜上皮バリア機能の非侵襲的生理学的検査である鼻粘膜水分蒸散量、鼻粘膜上皮間電位差の測定、鼻汁浸透圧、pHの測定、鼻および口呼吸時の呼気凝集液中の過酸化水素濃度の測定、鼻粘膜上皮擦過細胞の糖鎖解析をおこなった。また、ドライアイの成因として、涙液の高浸透圧が考えられている。高浸透圧溶液のモデルとして5%の高張食塩水の点鼻誘発刺激をおこない、同様の検討を実施した。抗原特異的鼻誘発後、非特異的刺激である高張食塩水点鼻の両者とも、鼻粘膜水分蒸散量は増加、鼻粘膜上皮間電位差は減少し、鼻粘膜上皮バリア機能は低下したことが示された。抗原刺激後、呼気凝集液中のpHは上昇したが、高張食塩水刺激では有意な変化はみられなかった。両者共刺激後の呼気凝集液中の過酸化水素濃度も増加したが、異なる経過をたどった。鼻粘膜上皮擦過細胞の糖鎖の解析では、ABA, LCA, SSA lectinの反応性が、スギアレルギーの被験者で特異的ならびに非特異的誘発刺激後、減少していた。ドライノーズの病態とアレルギー性炎症、高浸透圧環境の関連性について引き続き解析中である。