著者
村上 弘之
出版者
上武大学
雑誌
上武大学看護学部紀要 (ISSN:1880747X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-14, 2007-09

近年,麻疹や風疹などの小児ウイルス感染症や結核などの集団感染事例が高校・大学等の教育機関だけでなく,医療機関では院内感染として問題になっている.臨地実習が看護教育上欠かすことができない看護学生は,臨地実習施設が病院だけでなく地域施設などにも及ぶことから何らかの感染を受ける危険が高い.また,患者に感染させる危険も高い.現在の看護学生が属する10歳代後半から20歳代若年者集団には,小児ウイルス感染症や結核などに対する感受性が高い者が多く含まれている.これまで,医学や看護を学ぶ学生にはB型肝炎感染予防対策が中心であり,空気感染や飛沫感染によって伝播するウイルス感染症や結核に関する対策は少なかった.看護学生の属する若年者の感染症に対する感受性を考慮し,臨地実習では学生の安全だけでなく患者の安全を厳守するという医療安全,学校内では集団感染発生に対する危機管理上必要な対策が求められている.