著者
下村 登規夫 小谷 和彦 村上 文代
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.391-396, 2002-06-10

片頭痛患者においてはmagnetic resonance spectroscopy(MRS)による検討で,脳内の好気的代謝に障害が存在する可能性が指摘されるようになっている。また,ミトコンドリア酵素の活性低下も認められ,ミトコンドリア遺伝子異常の報告も加わり,ミトコンドリア機能異常が片頭痛患者に存在する可能性が指摘されるようになってきた。これらのミトコンドリア機能異常のみならず片頭痛患者においては,superoxide dismutaseの低下などのように後天的にもミトコンドリア機能障害をきたす可能性が存在することが指摘されている。また,治療面ではミトコンドリア機能を改善するような治療を行うことにより頭痛発作の軽減が認められている。これらのことは片頭痛が全身的ミトコンドリア機能障害を伴っていることを示唆するものであり,今後の治療薬の開発にも関わるものである。