- 著者
-
平野 恒夫
生田 茂
山下 晃一
長村 吉洋
田中 皓
長嶋 雲兵
岩田 末廣
村上 明徳
- 出版者
- お茶の水女子大学
- 雑誌
- 重点領域研究
- 巻号頁・発行日
- 1994
平成5年度に引き続き、星間分子の構造と化学反応に関して以下の研究を行った。1.我々が見い出したMgを含む星間分子としては最初の例であるMgNCに対して、さらに精度をあげたACPF/TZ2P+f法による電子状態の計算を行い、回転定数B_0の実測値5966.90MHzに対して、計算値5969.3MHzを得た。異性体のMgNCに対しても同様な計算を行い、実験値5094.80MHzに対して5089.3MHzの値を得た。また、星間分子候補として有力なFeCOの基底状態の分子構造をMRSDCI法で計算し、分光学定数を予測した。(平野)2.新たに見い出されたCOの赤外領域での発光スペクトルをリドベルグ状態間の遷移として同定した。(平野、長嶋)3.FeH,FeCOに関してf関数をも含む基底関数を用い、大規模なMRCIの計算を行った。また、MgC_2の構造と分光学定数をSDCIレベルで計算した。(田中)4.解離性再結合反応HCNH^++e^-→の反応機構を検討し、炭素星周辺でHNC/HCN比が1に近いことを量子化学的に説明した。(平野、長嶋)5.アセチレンシアニドHC_3Nの生成機構に関して、種々の中間体のエネルギーを計算して、C_2H_2またはC_2HとCNからの生成が可能であることを示した。(長村)6.星間反応C(^3P)+C_2H_2→C_3H_2のポテンシャル面をCASSCF/DZPとMP4/6-31G^<**>法で求めた。また、cyclic-C_3H_2からlinear-C_3H_2への異性化反応過程と、cyclic-C_3H+Hへの解離過程がほぼ障壁なしに起こることを明らかにした。(山下)